松本昭夫,1981,『精神病棟の二十年』新潮社(文庫版有り)'10.6.6 統合失調症により約20年にわたって入退院を繰り返してきた当事者による、貴重な闘病記録である。 幻覚の発症過程から、かつて行われていた電気ショック療法やインシュリン療法の作用に至るまで、統合失調症への理解を深め、また精神医学の歴史を振り返るうえで、第一級の資料といえるだろう。 いまだ統合されない自我の裂け目が表象されたかのような文体に、目眩を感じた。資料的価値があるだけでなく、実におもしろい内容の本だ。