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本と音楽とねこと

DRY

原田ひ香,2022,DRY,光文社.(10.22.23)

 貧困、暴力、虐待、堕落、絶望等を描くフィクションの醍醐味は、究極の悲惨さ、残酷さを安心して楽しめる点にあると思うので、初老の女が母親を刺したりとか、誘拐して介護した認知症の老人を、死後、体液を抜き内臓を取り出してミイラにするとか、けっこう読みどころはあった。
 しかし、究極のエグさを堪能させてくれる桐野夏生ワールドを知る者としては、いまひとつ物足りなさを感じてしまう。

離婚し子供たちと引き離され、金銭的に困窮した藍は、祖母と母のいる実家に戻る。生活力もなく喧嘩の絶えない藍たちに手を差し伸べたのは、隣に住む美代子だった。祖父を介護して暮らしているという美代子に助けられ親しくなるうち、彼女のある秘密が知れる…。貧困、ケア、孤独。背負わされる業と役割に、女たちはどう抗えるというのか。迫真と驚愕の犯罪小説。

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