中世の時代を起点とした、長期的な社会変動の歴史のなかに、現代の情報化の価値を定位する、壮大な構想に感心した。SNSによるコミュニケーションやビジネスは、複数のレイヤー(層)を自在に渡り歩く新たな自由を示すものであり、「ゆるぎないアイデンティティ」をもつ自立した個人なる、近代社会が理想としてきた人間モデルが過去のものでしかなくなったことをあらためて実感させられた。
目次
プロローグ 現代―― 第三の産業革命が起きている
第一部 中世 ―― 多くの民族がともに栄えた帝国の時代
episodeI 十四世紀 世界を旅した果てに中国で見たもの
第一章 かつてヨーロッパは辺境の地だった
第二章 なぜ中世の帝国は滅んだのか
第二部 近代 ―― 私たちが「国民」になった時代
episodeII 二十世紀 革命と戦争、そして幸せな家族の日々
第三章 「国民」は幻想からやってきた
第四章 「民主主義」という栄光
第五章 崩壊していく民主主義と国民国家
第三部 未来 ――〈場〉の上でレイヤー化していく世界
episodeIII 二十一世紀 金鉱掘りの新しいテクノロジー
第六章 すべては〈場〉に呑み込まれる
第七章 レイヤー化する世界
第八章 「超国籍企業」が国民国家を終わらせる
第九章 新しい世界システムと私たち
情報技術の革新は、メディアや産業の構造を根底から変え、超国籍企業を生んで労働と富のグローバル化を加速し、国ぐにの力を殺いだ。ITを基盤としたシステムそのものが権力化するなか、個人もまた、生きかたの変容を迫られている。これから来る世界はいったいどのようなものなのか。そこでわれわれはどう生きていけばいいのか。斯界の第一人者が、テクノロジーの文明史を踏まえて未来の社会像を鮮明に描き出す。
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