「適正化モデル」と「人権モデル」という対概念枠組みから、生活保護をめぐる論点を明快に整理したくだりは、とても参考になった。「抑圧移譲」の果てに弱者がさらなる弱者をバッシングするという不幸な帰結を回避するためにも、貧困問題の現状をつぶさに報告するこうした著作は有益だ。
目次
第1章 生活保護をめぐる二つの立場
第2章 増えたのは派遣村のせい?
第3章 生活保護バッシングと法改正
第4章 各論対決「適正化モデルVS人権モデル」
第5章 生活保護ではなく貧困の話をしよう
第6章 「子どもの貧困」から制度を読み解く
第7章 困窮する子どもたちへの支援
第8章 「日本を支える人」を増やすために
派遣村、生活保護費でギャンブル禁止条例、芸能人の親による不適正受給…。生活保護をめぐる問題はあとを絶たない。激しいバッシングが起こるなか、2013年8月、ついに保護基準の引き下げが決定された。最大で10パーセントの給付削減が、貧困家庭を直撃する。ほんとうに心配なのは子どもたちだ。困窮家庭に育った子どもは、十分な教育環境もなく、社会に出ても安定した職には就きにくい。制度の賛否については活発に議論されるが、それだけで「貧困の連鎖」を断ち切れるのか。行政と民間、双方の立場で貧困問題に取り組む著者が、知られざる現場の生の声をレポートする。
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