なぜ、『ジェンダーで学ぶ社会学』がダメで、本書が読むに値するのか。その一つは、明確な問題意識があるかないかのちがいだ。若手執筆者が多いせいか、読みにくくぎこちない文体が随所に散見されるが、それを差し引いても本書には読む価値がある。
憲法9条の「改正」は、同24条のそれへと結びつく。その理由は、本書を読めばはっきりとわかるはずだが、現代が、もはや「戦後」ではなく「戦前」へと移行しつつある現状に、薄ら寒い思いがする。
ありもしない「日本的家族」を法制化し、日本社会を家父長制戦争国家へと変貌させようとする趨勢には、より警戒すべきだろう。憲法改正の本丸は、9条ではなく、24条である。ここをやられたら、現状でも問題だらけの社会保障が完全に解体されかねない。
目次
第1章 「日本的家族」のまぼろし
第2章 右派の「二十四条」「家族」言説を読む
第3章 バックラッシュと官製婚活の連続性―「女性活躍」の背後で剥奪されるリプロダクティブ・ヘルス/ライツ
第4章 税制と教育をつなぐもの
第5章 家庭教育への国家介入の近代史をたどる
第6章 在日コリアンと日本人の見えにくい「国際」結婚の半世紀
第7章 憲法二十四条改悪と「家族」のゆくえ
昨今の政治はなぜ、現実に適合しない家族モデルを押し付けようとするのか?家族観の歴史的な変遷、結婚制度・税制・教育に通底する家族像、憲法24条改悪―フェイクな家族モデル=「伝統的な家族」を追い求める「斜め上」をいく事例を多角的に検証する。
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