宮下洋一,2019,安楽死を遂げた日本人,小学館.(5.2.2020)
多系統萎縮症、このあらゆる身体機能が次第に衰えていく難病に罹患した小島ミナさんと、スイスで、安楽死、というより、自殺ほう助にたちあう人々の人物造形を軸に、ストーリーが展開する。
圧巻は、安楽死の瞬間の描写である。立ち会った者にしか描けない、「自殺」の瞬間。同じく立ち会ったミナさんの二人のお姉さんの動揺と平静、そのゆらぎの過程の描写も良い。このお二人と再会した際の、後日譚も味わい深い。
宮下さんは、「安楽死」について、否定も肯定もしない。ここでは、一人の人の生と自死、およびその家族についての物語が提示されているだけだ。読後、わたしもミナさんのように死にたい、そう思った。
目次
第1章 我が運命の支配者
第2章 孤独と歩む
第3章 幸運を祈ります
第4章 焦りと混乱
第5章 最高の別れ
第6章 家族を取り戻した男
第7章 遺灰
理想の死を求めてスイスに渡った日本人に密着した、圧巻のルポルタージュ。講談社ノンフィクション賞受賞作、待望の続編!
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