若い人たちに、ぜひ知ってほしいのが、この稀代の文筆家、故橋本治だ。
『桃尻娘』で衝撃のデビューを果たした橋本治。本書は、成人男性向漫画雑誌『ヤングサンデー』に連載されたエッセイ集だ。漫画しか読まないバカを啓蒙すべく、橋本さん、「メチャクチャさで頭の中がかゆくりそうなややこしさ」(p.236)ゆんゆんの思索を、涙ぐましいほどわかりやすい言葉を連ねて展開する。大人になるとは?人生のゆたかさとは?これらの難題を、橋本節炸裂、驚愕するほど深く深く論じきる。ムチャムチャ、レベル高い。
いま、手元にあるのは、初版本なのだが、このシリーズ、Kindleで、一冊400円前後で読める。全部、もう一回読み直してみよう。おもしろすぎる。
わたしは、日本のサブカルチャーにおいて、もっとも偉大なアーティストが、この橋本治と、PANTAさんこと、中村治雄さんだと思っていて、二人とも、その職人的技能は、「人間国宝」クラスだと信じて疑わないのだが、この二人が、一緒に作詞した「悲しみよようこそ」という歌曲がある。
地平線 とかした夜は
暮れなずむ 星のコンチェルト
ひとときの涙を止めて
回りだす 回転木馬
こんな詩を、どうやって、共作したのか、想像するだけで楽しい。
「貧乏は正しい!」シリーズの第1弾である本書は、ソ連を中心とする社会主義体制崩壊からバブル経済の終焉までを、日本の若者のオナニーとリンクさせて語るという、いきなりの離れ業が展開される。しかし、そこに書かれているのは“当たり前の本当のこと”。これを読めば、人生が変わる。
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