発達障がいの当事者が機能不全家族のなかで育つと、どのような二次障がい、生きづらさをかかえることになるのか、たいへんわかりやすく説明されている。
筆者自身が機能不全家族のなかで育った発達障がい当事者であることも、そうしたわかりやすさに寄与しているのだろう。それは、自らの苦悩を言語化することにほかならないのだから。
歴史上の人物、有名人、凶悪犯罪者の内面に迫った部分も興味深かった。
家族が生み出すべきたった一つのもの、それは「愛着」である。「機能不全家族」という環境要因と、「発達障害」という認知機能的要因の二つの視点から、子どもの育ちにとって「家族」機能はなぜ必要かを問う。
目次
序章 診察室から見える「現代の家族像」
第1章 「機能していない家族」で育つ人生の重荷
不安障害に悩まされた文豪―夏目漱石
過食症・自傷行為と闘い続けた皇太子妃―ダイアナ・フランセス
薬物依存に苦しんだ「10代のカリスマ」―尾崎豊
暴力の連鎖を体現した「独裁者」―アドルフ・ヒトラー「機能不全家族」という病
第2章 「発達障害」という生きづらさ
「世渡り下手」の天才作曲家―ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
感性の赴くままに生きた放浪の天才画家―山下清
スリルを追求し、自己顕示に徹した不屈の政治家―ウィンストン・チャーチル
「発達障害」による生きづらさ
第3章 機能不全家族と発達障害の二重奏
「二重奏」によって脆弱化される心
「殺人幻想」に取り憑かれた少年―「少年A」(酒鬼薔薇聖斗)
冷酷無比な殺人に手を染めた反社会性パーソナリティ―宅間守
「本当の家族」を探し求めたアーティスト―さかもと未明
発達障害の特性を武器にしたハリウッドスター―トム・クルーズ
第4章 「家族という病」とどう向き合うか
「二重奏」による苦悩を乗り越えるために
親子の愛着関係から始まる「家族」
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