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本と音楽とねこと

プレニテュード

ジュリエット・B・ショア(森岡孝二監訳),2011,プレニテュード──新しい〈豊かさ〉の経済学,岩波書店.(10.20.2020)

 ショアの地球環境問題についての危機意識は、おそろしく深い。
 あらゆる生命を生存不可能にする環境破壊に手をそめるくらいなら、自発的に失業し、農業や手仕事による地域社会レベルでの自給自足、スモール・マーケットの構築をめざすべきである。
 このような環境主義は、半世紀以上も前から、根強く支持されてきた。それでも、環境主義のライフスタイルが主流化しなかったのは、しょせんカネがなければ最低限の生活水準さえ維持できないのではないか、という至極当然の怖れがあるからである。
 最低賃金がせめて時給1,500円を保障されれば、自発的に短時間労働に従事し、半農半Xの暮らしを実現することができるだろう。
 ショアやジャレド・ダイアモンドが肯定的にとらえてきた、脱物質主義のライフスタイルは、コロナ禍のいまだからこそ実現できるのかもしれない。

働きすぎと浪費の悪循環は、自然と人間を疲弊させ、環境の危機と経済の危機をもたらしている。この2つの危機から脱するためのキーワードは、「プレニテュード」。プレニテュードとは、環境に配慮した生産・消費のシステムと、個人のゆったりした働き方・暮らし方とが合致する新しい「豊かさ」のこと。従来型の市場経済を乗りこえる最先端の試みを多数紹介し、危機のなかに希望を指し示す。

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