未婚・子なしの女性を「負け犬」と呼ぶのもおそろしく時代遅れの発想だが、「勝ち犬」も含めた筆者と同世代の女性の生態観察は鋭くなかなか読ませる。
ネタ本にマジレビューすんのもばかばかしいが、念のため言っておくと、結婚しようがしまいが、子どもがいようがいまいが、幸せな人生を送れるかどうかとは関係ない。子どもだけはつくって自らの遺伝子を後世に伝承しないといけないというのも、たんなる血縁幻想でしかなく、子どもは親とはまったく別の意識と属性をもった「他者」でしかないのであって、自らが死んでも後世になにほどのものかを残せるなんざ、当座の慰撫にしかならない。また、子どもをつくらないと人類が死滅してしまう云々という言いぐさも、たんなる人間中心主義の発想でしかない。
人間が子どもをつくって育てるのは、仕事をするのと同様、長い人生の暇つぶし、それ以上でも以下でもない。結婚も、生活歴や習慣、価値観の異なる他者同士が長期にわたって生活を共有する契約を取り結ぶという、考えてみればおそろしく非合理で無理のあるものでしかない。未婚か既婚か、子どもがいるかいないかなんて、ほんとうにくだらない線引きにしかすぎない。
目次
余はいかにして負け犬となりし乎
負け犬発生の原因
負け犬の特徴
負け犬の処世術
負け犬と敗北
負け犬にならないための十カ条
負け犬になってしまってからの十カ条
文庫版特典 酒井順子vs.4匹のオス負け犬 オス負け犬がクヨクヨ吠えた
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