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近代官僚制における恣意的な権力の排除が、より恣意的な権力を召喚し、硬直的な文書主義の原則にもとづいて、無駄なペーパーワークばかりが増えていく。
「官僚制の逆機能」についての議論として、とくに新味があるわけではないが、社会学のそれと比べて、(議論の)スケールが大きい。
人類学の知見を現実社会への批判理論に反映させていくグレーバーの問題意識は、きわめて明晰だ。
なぜ空飛ぶ自動車はまだないのか?かつて人類が夢見た「空飛ぶ自動車」をめぐる科学技術は、ひるがえって人間の内面を規制する「マネジメント(=官僚制)」を生み出した!新自由主義が自明のものとなった今日、それもまた空気と化している。『負債論』の著者グレーバーが、その無意識の現代性に切り込む画期的な文明批評!
目次
序 リベラリズムの鉄則と全面的官僚制化の時代(リベラリズムの鉄則)
1 想像力の死角?構造的愚かさについての一考察
2 空飛ぶ自動車と利潤率の傾向的低下(テーゼ―一九七〇年代に、いまとはちがう未来の可能性とむすびついたテクノロジーへの投資から、労働規律や社会的統制を促進させるテクノロジーへの投資の根本的転換がはじまったとみなしうる。;アンチテーゼ―とはいえ、莫大な資金をえている科学やテクノロジーの領域すらも、もともと期待されていたブレイクスルーをみていない。;ジンテーゼ―詩的テクノロジー(Poetic Technologies)から官僚制的テクノロジー(Bureaucratic Technologies)への移行について)
3 規則のユートピア、あるいは、つまるところ、なぜわたしたちは心から官僚制を愛しているのか(脱魔術化の魔術化、あるいは郵便局の魔力;精神性の一形式としての合理主義;反官僚制的ファンタジーの官僚制化について;規則のユートピア)
補論 バットマンと構成的権力の問題について
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