小説、音楽、映画等の作品におけるトラウマの氾濫を例示し、あらゆる問題についていかがわしげな心理学、精神医学、脳科学の言説が横行することになった経緯とその虚妄性が詳細に論じられている。文庫版あとがきに、9.11以降に顕著になる「心理学化」ならぬ「社会学化」への疑念が綴られているが、ここいらへんはラカン派精神分析家ならではの発想だろう。システム論的思考の危うさを再認識するうえでも、とても有益な一冊だ。
トラウマ、癒し、ストレス、プロファイリング…あらゆる社会現象が心理学・精神医学の言葉で説明される「社会の心理学化」。精神科臨床のみならず、大衆文化から事件報道に至るまで、分野を超えて同時多発的に生じたこの潮流の深層に潜む時代精神を鮮やかに分析。来るべき批評と臨床の倫理を追求する。
最新の画像もっと見る
最近の「本」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事