とくに目新しい知見が得られるわけではないが、優れた執筆陣による論考はなかなか読み応えがある。あまたの「社会福祉原論」を凌駕する内容だ。
目次
理念
当事者とは誰か?―ニーズ中心の福祉社会のために
ニーズとサービス
ケアサービスのシステムと当事者主権
高齢者のニーズ生成のプロセス―介護保険サービス利用者の語りから
ニーズはなぜ潜在化するのか―高齢者虐待問題と増大する「息子」加害者
事業
福祉多元社会における協セクターの役割
福祉事業における非営利・協同セクターの実践―生活クラブ生協千葉の事例から
制度
三つの福祉政府体系と当事者主権
これからの社会保障政策と障害福祉―高齢者ケアとの統合を含む社会サービスの可能性を視野に
アクション
楽観してよいはずだ
当事者主権の福祉戦略―ユーザユニオンの結成へ
「当事者になる」ことは、みずからニーズの主体となり、社会がそれを満たす責任を要求するクレイム申し立て活動と不可分である。いまだ存在していないニーズを生成し、顕在化させるプロセスは、どういう社会がのぞましいか、という社会構想力をともなう創造的な過程である。それには、規範的、政治的な選択が関わってくる。「ニーズ中心」という本書の立場は、そのための理論的基礎を提供することを目的としている。
最新の画像もっと見る
最近の「本」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事