湊かなえ,2010,告白,双葉社.(2.16.25)
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラーが遂に文庫化!“特別収録”中島哲也監督インタビュー『「告白」映画化によせて』。
映画と比べて、原作のインパクトはどんなもんかなと思いつつ読んでみたのだが。
映画「告白」劇場予告
「見たまんま」理解できる映画と違って、小説の出来は、言葉の一つ一つが喚起するイメージの豊穣さに左右される。
この手の小説であれば、どうしても桐野夏生さんの作品と比べてしまうのだが、言葉が喚起するイメージの豊穣さに少々欠ける。
その点、もともと、劇画的、映画的な作品なのだろうな。
湊かなえ,2012,少女,双葉社.(2.16.25)
親友の自殺を目撃したことがあるという転校生の告白を、ある種の自慢のように感じた由紀は、自分なら死体ではなく、人が死ぬ瞬間を見てみたいと思った。自殺を考えたことのある敦子は、死体を見たら、死を悟ることができ、強い自分になれるのではないかと考える。ふたりとも相手には告げずに、それぞれ老人ホームと小児科病棟へボランティアに行く―死の瞬間に立ち合うために。高校2年の少女たちの衝撃的な夏休みを描く長編ミステリー。
死へのあこがれと畏れ、高校生時分に自らにもあった感情と観念を懐かしく思い起こした。
悪くはないのだけど、やはり、この作品も、劇画的、映画的、だ。
「言葉の力」がみなぎる、近年の湊さんの作品と比べると、やや不満が残る初期の作品である。