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本と音楽とねこと

アメリカの恩寵

ロバート・D・パットナム、デヴィッド・E. キャンベル(柴内康文訳),2019,アメリカの恩寵──宗教は社会をいかに分かち、結びつけるのか,柏書房.(7.14.2020)

 700頁近い、これまた大作。ここまで分厚い本は、珍しい。
 主として、2006年に行われたおおがかりな調査データにもとづき、先進産業国一の宗教大国、アメリカ合衆国における、モルモン教、福音派プロテスタント、主流派プロテスタント、カトリック、ユダヤ教等、その信者たちの信仰のありようと価値意識について、フィールドワークによる各「会衆」についての観察、各種世論調査、2011年の再調査をとりまぜ、また補足しながら、論じきる。
 もっとも興味深かったのは、異宗派、異教徒、無信仰者との友人関係や親族ネットワークの拡大により、宗教的多様性への寛容が深まっていくことを説明した部分であった。社会的ネットワークの拡大と文化的多様性についての、生きたデータにもとづく議論は実におもしろい。
 訳者の柴内康文さんもえらい。『孤独なボウリング』、『われらの子ども』、そして本書と、大部の著作を全訳するとはすごいものだ。

目次
第1章 アメリカにおける宗教的分極化と多様性
第2章 挿話――古きものと新しきもの
第3章 アメリカの宗教性――歴史的背景
第4章 アメリカの宗教性――激震と二つの余震
第5章 切り替え・整合・混合
第6章 宗教におけるイノベーション
第7章 挿話――エスニシティ、ジェンダーと宗教
第8章 女性革命、不平等の増大と宗教
第9章 多様性、エスニシティと宗教
第10章 挿話――いかに宗教と政治が結びつくのか
第11章 アメリカ政治における宗教
第12章 エコー・チェンバー――会衆内部での政治
第13章 宗教とよき隣人性
第14章 分断された家?
第15章 アメリカの恩寵――寛容な国家がいかにその宗教的分断を橋渡しするか
エピローグ
謝辞
補遺1 信仰重要性調査
補遺2 データ分析
訳者あとがき/原注/索引

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