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本と音楽とねこと

貧困の戦後史

岩田正美,2017,貧困の戦後史──貧困の「かたち」はどう変わったか,筑摩書房.(8.3.2020)

 浮浪児・浮浪者、ニコヨン、仮小屋集落、原爆スラム、炭鉱住宅、売血、バタヤ集落、寄せ場、多重債務、開拓貧農、ホームレス、ネットカフェ難民、戦後、この国に出現してきた、さまざまな貧困の「かたち」がみごとに再現されている。
 資料の扱い方がとても秀逸で感心したのだが、それがあってはじめて、このような貧困のリアルが提示できているのだと思う。
 すぐれた研究成果だ。

目次
第1章 敗戦と貧困
第2章 復興と貧困
第3章 経済成長と貧困
第4章 「一億総中流社会」と貧困
第5章 「失われた二〇年」と貧困
おわりに 戦後日本の貧困を考える

敗戦直後の貧困は「食べるものすらない」という「かたち」で現れた。こうした中で、戦争により生み出された浮浪者や浮浪児の一部は炭鉱へと送られた。そこで生まれ育った若者の多くは集団就職で都会へと出ていき、その一部は「寄せ場」の労働者となった。高度経済成長により実現した大衆消費社会は多重債務問題をもたらし、バブル崩壊はホームレスを生んだ―。戦後日本の貧困の「かたち」がいかに変容したかを描き出し、今日における貧困問題の核心を衝く。

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