井上荒野,2020,そこにはいない男たちについて,角川春樹事務所.(11.2.24)
愛する夫を喪った女と、夫が大嫌いになった女。おいしい料理教室を舞台にしたふたりの“妻”の孤独と冒険の物語。
愛する夫を喪い悲嘆に暮れる料理家、実日子と、実日子の料理教室に通う、夫が嫌いで嫌いでしようがないまり。
そして、それぞれの女に、こころを寄せる若い二人の男。
美味しそうな料理のレシピに、実日子、まりの心象風景が重ねられていく。
細やかな心理描写が秀逸で、物語にぐいぐい引き込まれる長編小説の秀作だ。