新型コロナウィルスの蔓延により、失業し、あるいは所得が激減して、生活に困窮する人々が急増した。
2008年の「リーマン・ショック」時は、製造業現場従事者が「派遣切り」の憂き目にあい、「年越し派遣村」での救済活動が展開されたが、コロナ禍により、飲食業、宿泊業、旅行業をはじめとしたサービス産業に従事する非正規労働者が、所得のみならず住居までも失うはめになった。生活困窮者に占める女性の比率が高いのも、コロナ禍による生活困窮問題の特徴である。
本書は、雨宮さんが、2020年に、コロナ禍による生活困窮者相談支援活動に従事した、その記録である。
新型ウィルスの流行は、この国の経済がとっくに崩壊していたということを、嫌というほど露呈させた。非正規雇用を増やし、彼ら彼女らを低賃金で不安定な立場に押し込み、何かあればその層を放り出す──。そうやって人の命や生活を犠牲にし、騙し騙しで続けてきたシステムが限界を迎えていることが、白日のもとに晒された。
(p.228)
もはや人災といっても良い、いまなお続くコロナ禍による生活困窮問題を把握できる、第一級のルポルタージュである。
新型コロナ災害緊急アクション
コロナ禍の下、連日届くSOS。2020年の支援現場からの衝撃の記録。15年にわたり貧困と関わってきた著者が、「死なない」ノウハウを伝え、セーフネットを崩壊させる政治に警告を発する。
目次
はじめに
第1章 2020年春
第2章 2020年夏
第3章 2020年秋
第4章 2020年冬
あとがき
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