武川正吾,2012,政策志向の社会学──福祉国家と市民社会,有斐閣.(11.18.24)
変化を求められる公共政策、社会学に何ができるか―グローバル化、脱工業化、個人化に対応した新しい公共政策のために。
学会報告をもとにとりまとめられた論考集。
各々の論文が短めなので読みやすい。
社会政策の中心課題は、最低生活保障とジェンダー平等にあると思うが、具体的には、部分的ベーシックインカムとしての給付付き税額控除、児童手当、基礎年金の再構築、第3号被保険者制度の廃止、ケア労働も含めた最低賃金の引き上げ等が焦点的な課題となるだろう。
研究は遅々として進まないが、わたしも、雇用政策と社会保障における脱商品化、脱ジェンダー化の可能性を追求していきたい。
目次
公共政策における社会学―公共社会学のために
二一世紀型の社会政策―二〇世紀的前提を問う
福祉社会のガバナンス―多元主義とレジーム
セーフティネットかナショナルミニマムか―社会政策の理念
生活保障システムの危機―雇用の流動化と家族
社会政策における福祉と就労―ワークフェアの内実
高齢者ケアの政策―介護保険と地域福祉
年金社会学の構想―社会政策における信頼
縮小社会における地域―地域社会学と地域福祉学
ローカル・ガバナンスと地域福祉―地方自治の学校
ベーシック・インカム―ピースミールとユートピアの弁証法
高福祉高負担の社会意識―福祉国家の可能性
社会政策学会の再々出発―公共政策の刷新