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第2章「リスクと法」(中山竜一)と第3章「リスクと福祉社会」(広井良典)は、なかなか読みごたえがあった。
リスクを「望ましくないできごとが生起する確率」と定義しておくと、かつて山崎正和が指摘したように、それはきわめて個別的・偶発的なものと認識されるようになっており、その背景にある巨大技術を制御する安全設計や生存権を保障する社会制度のほころびが見えにくくなっている。おそらく、それを可視化し、科学技術、環境、法、経済、社会保障等の領域においてリスク制御のしくみを確立していくことが必要なのだろう。
リスク社会において、そもそもリスクはどう定義されるのか。また、個々のリスクを最小限にしつつ、互いに拮抗するリスクをどのように調整していくのか?経済学・法律学・社会学・科学技術など、各学問領域に通底する新しい学問として、リスクマネージメントの総合化・体系化を目指す。そのための問題の発見と整理を行なう、シリーズの総論。冒頭に編者全員の共同討論を置き、リスク学に関係する主要文献の解題を付す。
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