【旧作】地域に福祉を築く【斜め読み】
一番ヶ瀬康子・小林博・馬場清編著,2002,地域社会と福祉文化,明石書店.(11.12.24)
戦後地域では伝統的な生活文化や教育・福祉力の低下、生活環境の悪化が進んだ。その流れを変えるものとして、住民同士の共生を模索する動きや豊かな環境づくりなど地域で新しい福祉文化が誕生しつつある。その取組みを紹介し地域と福祉文化の関わりを考える。
介護保険制度施行から間もない2000年代初頭、1980年代から活性化した住民参加型福祉の実践が全国各地で花開いていた。
1960-1970年代の「闘う地域」から1980-1990年代の「助け合う地域」への転換。
これは、人口構成の高齢化にともなう変容であった。
その後、実質賃金の低下、非正規雇用の増加等による家計の逼迫により、地域福祉の担い手であった既婚女性が賃労働者化し、参加型住民福祉は冬の時代を迎えることになる。
それでも、それぞれの地域特性に根ざした福祉文化は、ささやかながら、維持、継承されている。
「健康で文化的な最低生活」(ナショナルミニマム)の保障のうえに分厚く蓄積される福祉文化──シビルミニマムの充実、充足をめざした試みはこれからも続いていく。
目次
第1部 地域社会と福祉文化
地域の変貌と福祉文化
第2部 地域で織りなす福祉文化
共生をめざすまちづくり
生活文化の発信と地域の活性化
地域の教育活動と福祉文化
豊かな環境を福祉文化の基盤に
第3部 今後の課題と展望
地域形成原理としての福祉文化
福祉文化の地域づくりの課題と展望