上野千鶴子,2010,ひとりの午後に,日本放送出版協会.(12.23.24)
「箱入り」だった子ども時代から胸苦しさに満ちた金沢での青春期、「枯れた」学生だった京都での日々。東大に招ばれ、逆風に身を置きながら、いまは亡き両親や敬愛する友、教え子、そして自らの行く末をおもう・・・。潔くてほろ苦い「大人のための」エッセイ集。
フェミニストの上野も稀代の論客の上野も知らない読者向けに書かれたエッセイ集。
親、思春期の思い出、加齢等々、さまざまなテーマで軽やかに文章が紡がれている。
厳選された言葉のみで語られる自己と他者、そして世界。
爽やかな読後感が残る。
目次
1 思いだすこと
菫の香水
墓 ほか
2 好きなもの
声
夕陽 ほか
3 年齢を重ねて
青春
うた ほか
4 ひとりのいま
佇まい
儀式 ほか
上野千鶴子,2012,みんな「おひとりさま」,青灯社.(12.23.24)
単身生活者も家族もちも、最後はみな「おひとりさま」。
この厳然たる事実に気づかせてくれた上野さんの功績は大きい。
団塊世代と団塊ジュニア世代との経済的社会的格差をめぐる論争が興味深かった。
目次
1 「私」を語る
「女の成熟」って
「女遊び」のたのしみ
女の友情
遠距離介護の経験
アラフォーおひとりさまへ
2 「おひとりさま」の老いと死
向老学のススメ
「男おひとりさま」―幸せに暮らせる人、暮らせない人
お墓はいらない私が願うこと
3 「みんなおひとりさま」時代の男と女
ひとり旅のススメ
シングルはモラトリアムか?
女はあなたを看取らない
「みんなおひとりさま」時代の社会の設計
「おひとりさま」が「安心して死ねる介護サービス施設」の探し方
4 「おひとりさま」のセックス
この40年間で女のセックスは変貌を遂げたか?―北原みのり『アンアンのセックスできれいになれた?』(朝日新聞出版、二〇一一年)をめぐって(対談 上野千鶴子×北原みのり)
シングルの特権!選べるセックス(対談 上野千鶴子×大川玲子))
5 団塊世代はどこへ?
団塊世代の女性、これまでとこれから
世代間対立という罠
団塊ジュニアが生きる社会