小説というスタイルをとってはいるが、筆者の体験にもとづいた、実質ノンフィクションに近い作品だ。
些細なことで激怒し大声で怒鳴り散らす父親に、自分の娘の容姿や能力をことあるごとくに執拗にけなし続ける母親。このダブル毒親にこころを傷つけられた記憶を丹念にたどっていく。
最初はつまらない内容だと思ったが、読み進めるうちに、この毒親のその毒々しさがじわじわ伝わってきて、まるでホラー小説を読んでいるかのような印象を受けた。背中に鳥肌立った。
毒親であるだけでなく、面前DV、身体的・心理的・性的虐待と、なんでもありの凄惨な家庭で育った者としては、毒親に怯え続ける少女にいたく感情移入してしまい、夢中になって読み終えた。傑作といえるだろう。
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