ニューエコノミーやグローバリゼーションがもたらしたものはなんなのか、主要な議論を網羅的に検討しつつ考察する。
ヨーロッパ、とくにフランス社会において、工業社会以降の社会変動がどうとらえられてきたのか、このことについての思想史的な整理はなかなか興味深い。
惜しむべきは、格差拡大と分断化のいきつく果てにあるものがさらなる荒涼とした世界なのか、そうした未来に取って代わるオールタナティブはあり得るのか、具体的なビジョンが希薄な点だ。本書に倣った構成をとったエスピン=アンデルセンの著作の方が、その点ではより参考になった。
それにしても、グローバリゼーションについての、博識に裏打ちされた深い洞察には感心した。B.アンダーソンのそれを彷彿とさせる内容だ。
目次
序章 ポスト産業社会とは何か
レッスン1 急変の時代
レッスン2 新たな経済と世界:グローバリゼーション
レッスン3 新たな社会モデルの模索
終章 社会の自由主義化
「オルタナティブな社会モデルの構築に向けて、金融危機の根源を探る。」
金融改革、雇用・労働形態の変革、情報技術(IT)革命、グローバリゼーション……。
「規制緩和」「自由化」の名のもとに推し進められた社会システムの凄まじい“大変動”がもたらした社会的連帯の崩壊、格差拡大、そしてその先に発生した世界的な金融危機。
「ル・モンド」論説委員を務め、フランス左派の知恵袋として活躍する気鋭のフランス人経済学者が、ヨーロッパの社会思想史の源流にさかのぼりながら、資本主義システムの病理の背景を平易に解説し、新たな社会モデルのあり方を考察する。
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