都市化は、日本社会から「暗闇」をなくしてきた。「狐憑き」は、お祓いで治すのではなく、精神科医が治癒にあたることになった。
それでも、世界有数の山岳国、日本である。少し足をのばせば、夜には真っ暗闇となる「山」に入れる。
本書におさめられている奇譚の数々から、日本人の意識の古層にあり続けてきた、自然への畏怖を強く感じ入った。
ちなみに、心霊現象を信じないわたしでも、暗闇は怖い。暗闇を怖れることで守られる自然もまたあるのであろう。
山を仕事場とする猟師や、山里に暮らす人々が実際に遭遇した奇妙な出来事。深い親交を持つ著者だからこそ聞き得た阿仁マタギの体験談をはじめ、時代の流れとともに消えつつある「語り遺産」を丹念に集めた現在形のフィールドワーク。「現代版遠野物語」として絶賛されたベストセラーを遂に文庫化。書き下ろしの「山怪後日談」を収録。
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