2017.6.17 午前1:30頃、伊豆半島・石廊崎の南東沖約20kmの海上で、アメリカ海軍のミサイル駆逐艦(通称イージス艦) フィッツジェラルドと、フィリピン船籍のコンテナ船「ACX(エーシーエックス) CRYSTAL(クリスタル)」が衝突する事故がありました。。。
行方不明の方も発見されましたが、残念な結果となってしまいました。合掌。
大損傷した米イージス艦 起こるはずのない衝突
2017年06月24日 16:02 AERA dot.
AERA オンライン限定記事(軍事評論家・田岡俊次)
に、色々書かれていましたが。。。
> ●船底を突き破られた
底っていうのは、下の面です。
今回突き破られたのは、舷側ですから、側面です。
> 軍艦と貨物船が衝突して、軍艦の被害のほうが大きかったことに驚く人も多いが、軍艦は船体に多くの肋骨を入れ、薄い外板を張る障子のような構造で、軽くて波浪に強いが、側面からの衝突には脆い。商船は船価を安くするため肋骨を少なくし、厚い外板で強度を保っている。フィッツジェラルドは破片などから高価な電子装備を守るため、引っ張り強度が高いケブラー繊維を固めた装甲約70トンを使っているが、それが付いているのは艦の一部だけだ。
鉄板の厚さは、、、艦艇は商船に対して、大きさの割には厚いですが、今回の場合、双方10mm前後の、似た様な厚さです。
艦艇と商船とか、鉄板の厚さとかじゃなくて、「正面が強く、側面が弱い」のは船の構造上の一般論です。
> 艦橋の下の水線下には、「戦闘情報センター」があり、コンピューターが集中する。1千数百億円以上するイージス艦の価格の半分近くは電子装備だから、海水に漬かっていれば大損害。艦齢も22年だけに、修理せずに廃艦になるかもしれない。
艦橋の下の船体内で、水線上に「戦闘情報センター」はあるはずですが。。。
もともと、CIC「戦闘情報センター」は、艦橋直後に設置されていました。
艦長が、艦橋と行き来して指揮しやすいように。
ただ、そうすると、ミサイル攻撃で艦橋を破壊されたときに、一気に指揮能力を失います。
そこで、丈夫な船体内に設置することになりました。
ミサイル攻撃に対しては、船体内の奥のほうが良いのですが、あまり下のほうに設置すると、今度は浸水したときに、機能を失います。
その観点から、水線上に設置したほうが、浸水の被害を受けにくくなります。
艦艇の艦内配置例
> 米海軍は事故から5日たっても、当時の駆逐艦の行動について一切発表せず、フィリピン船員の事情聴取をした海上保安庁も口を閉ざしている。だが名古屋港から東京港に向かっていたコンテナ船の航跡は「船舶自動識別装置」で記録されている。これによれば、同船は衝突前は東北東に航行、午前1時30分ごろに衝突した後、右転して南東に向け6分間、約3キロ移動している。左側から接近した駆逐艦と衝突し、船首を押されて右に曲がったか、あるいは衝突を避けようとし、直前に右に舵を切ったかと思われる航跡だ。
船同士の事故で、損害も(関係者の数が)限定的ですから、ことさら公表を急ぐ事由はありません。
一般の事件の捜査状況についての警察の発表だって、当日現場で見ればすぐわかる程度のことを、1週間から1ヶ月経過してようやく発表ということが普通です。
接触直後の動きの推測はともかく、その後の動きについても語らなければ、見たまんまを文字にしているだけです^^
コンテナ船の航路
衝突の1:30前後の拡大
東に進んでいて、1:30頃に衝突時に、90度南に向かい、東に約30分進んで反転、現場海域に戻っていることがわかります。
> 2隻の船の針路が交差し、衝突コースに入った際には右側に相手を見るほうがよける義務があり、右舷が衝突した駆逐艦のほうが基本的には分が悪い。仮に駆逐艦が低速でほぼ同方向に進んでいて、コンテナ船がそれを右側から追い越そうとしていれば、追い越す側に避ける義務がある。だがコンテナ船は駆逐艦の右舷の緑燈を見て、自船の針路を横切ろうとする相手のほうが避ける、と思った可能性もある。夜間には他船の動きはわかりにくいが、天候は良かったし、航海レーダーには周囲の船の針路も表示されるから、どちらかが肉眼とレーダーでしっかり見張っていれば衝突は避けられたはずだ。
1-2車線の道路上の話じゃないんですから、そういう追越とかしないです。
本来は、30分、1時間の単位で周囲を確認し、近くに船が居るんなら、近づかなくて済むように進路を取ります。
例えば、横浜港からハワイに向かう船と、神戸港からハワイに向かう船が、太平洋の上で追い越すとか、、、どんな形になる思いますかぁ?
世界地図の、太平洋の上で、線を引っ張ってみれば、、、ハワイ近傍ならともかく、その線の間隔は、センチ単位でしょうけど、、、それが実際の太平洋なら、、100km単位の距離があります。
それだけの距離感で航行する船たちに、追い越すとかの図式はありません。
どちらが避けるべきとかのルールは、あくまで港内や狭い水路等でお互いが目で見えるときの話です。
軍事評論家って言っても。。。
まず語られるのが、地上戦闘/陸軍、ミサイル、そして空爆、、、
世の中の圧倒的な人数が陸上に居て、船にかかわる人が少ない縮図を象徴するわけですが。。。
軍事評論家なら、分野外の船の構造とか、航行ルールとかを聞きかしりで語るよりも、、、イージス艦のステルス構造によるレーダー視認性についても問題にしてほしいです。
DDG62 Fitzgerald です。
平成26年6月14日 横須賀港
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2017.6.17 アメリカ海軍のミサイル駆逐艦と、コンテナ船が衝突する事故がありました
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2017.6.17 アメリカ海軍のミサイル駆逐艦と、コンテナ船が衝突する事故がありました (その2)
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