2016年7月のブログ記事一覧-カトカト日記 株式会社加登 門真店篇 ~門真・四條畷・寝屋川・守口・大東エリアでお墓のことならおまかせください~

映画三選再び。

お久しぶりです、奈良橿原店の高橋です。

皆さん、お茶は好きですか?
美味しいですよね、お茶。
先日、突然ちょっと良いお茶が飲みたくなって、雁ヶ音を購入しました。
安いお茶と違ってさすがに玉露、二度煎じてもおいしいんですよ。

はい、そういう訳で本日のネタは以前やった映画三選の二番煎じです。
タイタニックのように、全米が泣いたりはしない。
でもアタックオブザキラートマトのような超絶B級映画でもない。
そんな中途半端な評価の、でも決して出来が悪い訳ではない
以前のお勧めできない三選とは違って(個人的には全部大好きなんですが)
純粋に誰かに見てもらいたい、そんな映画を選んでみました。


・Brokedown Palace



アメリカからタイに卒業旅行で訪れていた女性二人(アリスとダーリーン)が
現地で知り合ったオーストラリア人のニックに騙されて
麻薬密輸の濡れ衣でタイ刑務所に投獄されてしまうというストーリー。
傑作ではないにしろ、なかなかにいい味出してる映画です。
映像と音楽についてはむしろ高得点。
もうちょっと、公開当時に人気出ても良かったと思うんですけど。

で、獄中の二人。
かつての親友が汚い言葉で罵り合い、現地人の虜囚たちからいじめられ
文化も言葉も違う環境の中で色々と理不尽な目にあい
それでも紆余曲折を経て、徐々にお互いの信頼を取り戻していきます。
そして最後は、アリスが二人分の懲役を一身に引き受ける事で
晴れてダーリーンは自由の身に。
めでたしめでたし。
そんなシンプルな友情物語だ、と、初見ではそう思っていました。

だけど実はちょっとした伏線が張ってあって、それに気付けば
「物語の真実」がひっくり返ってしまうのです。
肝は最後にアリスがダーリーンに放った一言と
とある場面でちらっと映る、小さな青いブツ。
このシーン、後々考えてみればカメラワークが意図的でした。
ダーリーンとニックが会っている時には、どんなやりとりがあったのか。
同様にアリスとニックが密会していた時には?
物語の序盤ではホテルのボーイも怪しいし、有能だと噂の弁護士もすごくうさんくさいし
色々な憶測が交錯する中、ああ、真相はそういう事だったのか…となるのです。

ちなみに Brokedown Palace(崩れ落ちた宮殿)とは、タイの刑務所の別名。
東南アジアの多くの国では、一定量以上の麻薬所持はほぼ死刑or無期懲役です。
外国人観光客だろうが、知らない間に鞄に入れられていようが
「所持している時点」で問答無用に適用されますので
東南アジアへ旅行の際には、くれぐれもお気を付けて。


・Vantage Point



テロ撲滅のスピーチ中に米大統領が狙撃され、その場に居合わせた
色んな人の色んな視点から、繰り返し同じ時間軸を辿るという
主題こそ違うものの、手法的には黒澤明監督「羅生門」をオマージュしている作品です。

この作品も非常に凝った脚本で、各パートの終わりが常に
「ああっ、いいとこなのにそこで終わるか!」
と言いたくなるような、良いもやもや感というか嫌な緊張感というか
「8回裏の途中ですが、番組をご覧の皆さんとはあと3分でお別れです」
的展開が毎回続くと思って下さい。
ただ、次のパートで同じ事柄を別視点からみたら新たな事実が見えてきて
次々と真相が明らかになっていくシナリオが良く練られているのです。
ご都合展開と言われても仕方のない点は幾つか有りますが、それは些細な事。
ラストシーンで母を探す少女アナが、結果的に世界を救ったというのは
なんという皮肉でしょうか。


・Phone Booth



一時期流行った、ソリッドシチュエーションというジャンルの映画です。
「Saw」や「Cube」に代表される、一つの閉鎖空間のみを舞台に進行する物語ですね。
不思議な事に、ソリッドシチュエーションってサスペンスやパニック、ホラーしか有りません。多分。
ソリッドシチュエーションラブロマンス、とかソリッドシチュエーションドタバタコメディーとか
どこかが作ってみないかなあ、と思いましたが。
良く考えてみたらそれって、お昼のメロドラマと吉本新喜劇ですね…

この映画については、先の二本と評価が少し違ってまして。
出来が微妙な訳ではない、どころかすごくいい映画なんです。
口先三寸のみで生きてきたチャラ男・ステュが、電話ボックスに入った事から始まる悲劇。
これが結構怖い。
皆さんはライフルのレーザーサイトってご存知です?
銃口が狙っている所に、赤い光が点く装置。
どこからかは判らないけれど、常にその赤い点が自分の胸辺りに
マークされているという状況を想像してみて下さい。
更に、そのライフルを握っている人物と電話越しに話をしていて
そいつはどう考えても常人じゃなくて
電話ボックスから出たら撃つと言われて
訳のわからない無茶な要求をしてきて
いやでも実は狂人のフリをしてるが頭の回転が速いヤツで…
どう考えても生きた心地がしませんね。
サイコサスペンスとしては非常に面白い作品です。

ところが、この主人公。
こいつがどうにも感情移入できない。
日本とアメリカの文化の違いっていやそれまでですが
とにかく主人公の心理状態の推移に共感できなかったのが残念。
まあここは個人差が大きく出るところだと思うので、
そんな事はないと感じる人も多いかもしれませんが。

先述の二作品と違って、難解な部分は何もないので
頭を空っぽにして「怖え~、どうなんのこれから」と
ドキドキしながら楽しんで下さい。