シムズ理論 物価水準の財政理論FTPL(fiscal theory of the price level):政府債務をインフレで増税ではなくインフレで帳消しにすることを宣言する:インフレ期待を上げるという政策 (あるいはそれを支えている 金融政策ではなく財政政策が物価水準を決めているという理論FTPLのこと:クリストファー・シムズ プリンストン大學教授が提言)大胆な財政支出 将来財政収支調整がないという予想(財政支出が効率的であることは必要) 恒常的な所得増大 民間消費の拡大が生じる。
日銀の金融緩和政策にかかわらず 14年4月の消費税増税(物価上昇率が2%に届くまえに消費増税を強行) 資源価格の下落などの結果 物価水準上昇率の低水準続いている。これは金融政策が効果を失っているだけでなく 財政再建のための増税・歳出削減がデフレの原因になっていることを示している。そこで 政府が増税・歳出削減をしないと約束して、通貨を増発すれば(つまり減税し財政を拡大する)物価水準は上昇する 財政規律を一時的に放棄する インフレが生じて実質債務(公債の実質価値)が減り債務は返済され、財政は再建され、デフレからも脱却できる
➡ 政府が政府債務の一部をインフレで帳消しにすると宣言する 2%の物価上昇目標を掲げて達成するまで消費税増税を延期する →人々のインフレ期待を高める 人々を国債を持ちたくないと思わせること
➡ 批判 インフレによる預金者・年金生活者の損失をどう考えるか インフレでかえって消費をおさえるのでは
➡ 批判 政府の信用を損ねるのでは
ヘリコプターマネー論 日銀が保有する国債の一部を無利子の永久債にする(たとえば償還をしないと政府が宣言する これは政府紙幣を空から撒くのと同じ効果があるとされる) その分財政は自由度を回復する インフレ目標実現すればヘリマネは打ち切る アデア・ターナー氏 2008-2013英国FSA長官 の提言 財政規律失わせる:財政支出にはどめかからない との批判がある 日銀保有の国債を永久国債にして塩漬けにするというもの 2017年1月末 日銀の保有残高は358兆円余り 発行残高894兆円あまりの40.05%で4割超えた 年80兆をめどとする大量購入続く
➡ 日銀が保有する政府債務の無効化(キャンセリング) 債務を永久債あるいは長期債に組み替える 米スティグリッツ コロンビア大学教授の提言(20170314諮問会議) 政府債務を瞬時に減少できる
➡ パブリックデットオーバーハング 公的債務がある水準を超えると経済成長の低下が起きる しかしこれに適合するのは実質金利が上昇するケース(クラウディングアウト) 日本のように実質金利が低水準で安定しているケースは説明できない
➡ 現在の低金利は成長率そのものが低下した事態だとか考えられる (労働人口の減少 高齢化など)自然利子率(期待収益率)そのものの低下(生産性が下がり将来の成長期待も低下したとされる) 実質利子率を下げても効果が生まれない たとえば物価上昇率があがれば実質利子率は下がる そして実質債務削減へ
・・・・・・・・・・
健全財政主義をどう考えるか
財政法4条 国債非発行主義 建設公債の原則➡ 健全財政
特例公債法による空文化
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
金利の変動と国債費
金融緩和 金利低下で国債費は減少
しかし上昇すれば国債費も増加 今後医療や介護など社会保障費が増加する
低金利政策に対しては トランプ氏による円安誘導(資金供給による円安誘導)との批判を考慮する必要
・・・・・・・・・・・・・・
2013年4月 異次元緩和導入
2014年10月 国債の買い入れを年80兆円に
2016年1月29日 日銀 マイナス金利政策導入 マイナス0.1%
2016年6月24日 英国が国民投票でEU離脱決定 円相場急上昇 夏には一時1ドル99円
2016年9月21日 総括的点検 政策目標を国債買い入れの量(年80兆円)から金利に転換 長期金利をゼロ%程度に誘導する
イールドカーブコントロール 長短の金利利回り曲線のコントロール
オーバーシュート型コミットメント 物価目標を超えても緩和し続ける意志の表明
2016年11月 日銀 物価2%目標を18年度に先送り
2016年11月9日 米大統領選でトランプ氏が勝利 米長期金利は2.5%前後に上昇 ドル高から円安に(2017年1月末で115円)
2016年11月17日 日銀が指値オペを始めて実施
日銀による金利誘導の失敗 日銀に対する市場の不信感高まる
2017年1月25日 1-5年国債の購入回数 5回の見通し 市場見通しの6回下回る 日銀は国債を買わなくなる
2017年2月2日 日銀があらかじめ予定した指値オペ見送り
2017年2月3日 金利が乱高下 長期金利跳ね上がる ➡ 市場実勢より高い値段で無制限に買う 2ケ月半ぶりの指値オペ実施で金利上昇抑える 応札殺到 低金利政策 超長期債利回り上昇容認(超長期債の買い入れを減額 2016年12月末)の間に矛盾