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電磁波と宇宙空間の歪みについて

 物理学を学んでいる人から笑われそうな素人談義の話題の一つがこれだ。
 まず映画の中でよく取り上げられる電磁波(electronic wave)について。この取り上げ方の一つは、人体に与える有害な影響を問題にするものがある。今考えるとあれは何だったろうと思うがPC導入の当初、有害な電磁波を浴びるから気をつけろというお話があった。
 映画の中の指摘としてはEddie Murphy(1961-)主演の政治コメディDistinguished Gentleman(1992)の中で小児白血病(leukemia)との関係が指摘されていた。高圧送電線の下に住居があるようなケースがとくに問題になり、この問題は高圧送電線を敷設するときに現在でもしばしば論点になっている。ただ電磁波の健康被害については、十分な論証はないという批判もある。今日、家庭でも職場でも私たちはPCやテレビ、レンジ、携帯電話などから電磁波を浴び続けているだけに、この問題は潜在的な不安になっている。この映画は、歯をみせて笑っているだけの娯楽作品、それもやや悪趣味な映画にしか登場しないと思われるEddieにとって挑戦的な作品だったとも、私は考える。
 電磁波が人類社会を脅かしているという趣旨の映画であれば、このほかVirus(1999)などがある。
 もう一つの電磁波の取り上げ方は強力な電磁場をつくることで人体や物体の時空を超えた移動が可能になるというもので、この趣旨の映画作品は極めて多数あるが、おそらくもっとも著名なのは第二次大戦中にアメリカ海軍が行った実験(強力な電磁波を使って軍艦を不可視化する実験=この実験の結果、問題の軍艦が時空を移動したとされる)を映画化したというPhiladelphia Experiment(1984)である。ネット上には、この実験そのものが存在しないフィクションとする指摘と、また反対に実験は実際にあったとする記述とが、同程度に溢れている。
 なお電磁波を使うかどうかは別にして時空間の移動time travelは映画がもっとも得意とする世界の一つである。私の記憶に残る古い作品は1960年代のtime tunnelと題したテレビドラマシリーズで、この話をするようでは私も年寄りの仲間入りだろう。
 ところで物理学の相対性原理によれば、光より早く移動できれば過去に遡れることができ、光と同程度に移動できれば、未来に移動できる。
 光速とは30万km/秒。音速340m/秒の88万倍である。現在人類が有人で達成している最速度はアポロ13号のマッハ33=秒速で1.12万kmとされる。しかし物理学的には加速すると質量が増えるので、理論的には単純に加速という方法で光速度を超えることは不可能。そこで早く移動するという方法以外になお残る有力なタイムトラベルの方法は二つ。映画の世界ではこれらがしばしば登場する。どちらの考え方かを取るかをとっているかは注目だ
 一つは宇宙空間の歪み(ワームホールworm hall)を利用してワープするもの。すなわちこのワームホールを人為的に作り出して移動するとする。近年の多くの映画はこの考え方である。突然物体がたとえば宇宙船が忽然と空間に姿を表すというのは、このワームホールの考えによる。たとえば最近のタイムスリップを使った脚本の日本映画として「戦国自衛隊1549」(2005)を挙げておくが、これはワームホールの考え方。ただワームホールは理論的には考えられるが、それを安定させることは現在のところは困難とされている。
 今一つは自然界には存在しない反粒子、反物質というものを人為的に作り出して、宇宙船を作ったり、そのエネルギーを利用するというもの。反粒子を利用することで、さきほど見た質量の限界を超えることができるとされている。
SF映画などをみるとき、このような知識があると少し楽しいと思うのだがどうだろう。

Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
originally appeared in November 12, 2008.
reposted in Aug.12, 2010.

休憩・幕間の楽しみ
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