2010年4月末 日米で予約注文受付開始。2010年6月7日に国内予約件数の6000台達成を発表。2010年11月半ばには受注が日米で2万台超える。
2010年12月3日 5人のり電気自動車「リーフ」を12月20日から発売するとした。神奈川県追浜工場で生産。予約注文を受けている個人・法人に出荷を始めるとした。2010年度の発売予定は6000台。EV(電気自動車)専用車であることに特徴。NECグループと共同生産(神奈川県座間市にあるオートモーティブエナジーサプライで生産)するリチウム電池を搭載。1回の充電で200キロメートル走行可能(走行可能距離はガソリン車の3分の1程度)。価格は376万4250円から(国から最大78万円の補助。購入者の実質負担は298万4250円から)。充電状態の確認はスマートフォンで。また航続可能距離は社内モニターで確認できる。日産のデータセンターに走行記録等は送信される。日産で電池の劣化状況を把握できるなど、今日のIT技術が活用されているとのこと。
米国でも2010年12月中に。欧州では2011年1月に順次発売。日産はHV(ハイブリッド車)でトヨタ、ホンダに遅れたことからEVで巻き返す戦略。フランスルノーとともに総額5000億円のEV開発投資。世界の大手自動車メーカーの中でEV生産・販売で明らかに先行しており、その戦略が注目される。
充電器設置に残る課題
しかしEVを活用するためには、家庭では専用線をひき充電用の200ボルトの電源を駐車場にとりつける必要(標準的工事費は10万円程度)。日産では全国に2200店ある販売店に普通充電器を設置。200店には急速充電器を設置。政府でも2020年度までに全国に5000基の急速充電器設置計画(普通充電器は2万基から200万基に増やす計画 位置上場を自動車に配信する計画も進む)あり(ガソリンスタンド全国4万とは格差)。レッカー車サービス(月額1500円)あり。
先行する三菱自動車
国内で電気自動車ですでに販売実績があるメーカーとして三菱自動車と富士重工業がある。三菱自動車では2009年にアイ・ミーブの量産を開始(2009年7月法人向けにEV発売開始 2010年4月には個人向EV販売開始)している。
富士重工業でも2009年7月に法人向けEV発売開始している。
三菱自動車は電池についてはGSユアサ(社長は依田誠氏)と共同生産してきた。2010年夏に東芝が三菱への電池供給に加わることが明らかになった。現在の実質価格284万を200万前後にする(2012年には200万を切ることを目標にしている)
リチウム電池の生産はこれまでは民生の電子機器向け。ハイブリッド車やEV車が普及するには、リチウム電池の供給力が不足しているという。EV車の価格の半分を占める電池のコストの引き下げにも課題がある。
トヨタのプリウスが納車が遅れる事態を招いたのは、電池の生産能力の問題とされる。それほど電池生産がネックになっている。トヨタが電池生産で組んでいるのはパナソニック(静岡県湖西市に続き2010年1月に宮城県大和町に電池工場を稼働させた パナソニックEVエナジー:PEVE、パナソニックによる三洋電機子会社との絡みでパナソニックはPEVEへの出資比率引き下げを中国当局から求められ、PEVEの増資をトヨタが引き受けることで60%→80.5%この要請をクリアすることになった:2010年3月末)。
三菱と商用車タイプEVの開発で合意しているのはフランスのPSA(プジョーシトロエンG)。2010年10月にはプジョー、シトロエン、それぞれのブランドで発売を開始した。
2010年にはEVで動かなかったトヨタ
これに対して最大手のトヨタ(豊田章男社長 2009年に社長に就任)はEVになお懐疑的ともHVでの優位を生かす戦略とも伝えられ2010年にはEV発売などの動きは示さなかった。2009年5月 新型プリウス発売したがその国内販売は順調だった(エコカー減税・補助金の効果ともされる。乗用車で最大25万円受け取れたエコカー補助金は2010年9月に打ち切られた。自動車メーカー各社はこの打ち切りで大きな打撃を受けた。自動車取得税の減税は2012年3月末まで、また自動車重量税の減税は同年4月末まで継続)。 2010年の国内自動車販売をみると、トヨタのEV車プリウスとホンダの小型車フィットとで国内販売では首位争いを続けた。その後にダイハツのタント、スズキはワゴンRが続く。
トヨタとホンダはEV発売は2012年としている。トヨタはプリウスをベースにしたハイブリッド車を2012に発売(プラグインタイプ 市販価格の目標は300万以下)、ホンダ(HVでインサイト 既存車のHV化を進める)も2012年に小型車とプラグインハイブリッド車を日米で発売するとしている。
トヨタは 1997年 ハイブリッド車HV プリウスを発売 世界累計で250万台を販売。ところが大量リコール問題(2009年から2010年にかけて内外で連続して生じた。2009年11月に大規模なリコールがあったほか、2010年2月9日にはプリウス等ハイブリッド車についてリコール発表 急加速とアクセルペダルの問題:北米トヨタの対応とくにプレスリリースは、米世論を十分に計算していない甘さがあった。また米運輸省と意思疎通を欠いておりトヨタのブランドイメージを毀損させた。米運輸省は2010年4月、トヨタが意図的に高速道路交通安全局NHTSAへの欠陥の通知を怠っていたとして制裁金を科す方針を示した。カローラのエンスト問題、レクサスGXの横転の危険性、レクサスの走行中のエンジン停止問題、ハンドル不制御問題など続々出てきた:このように問題が続く理由は開示姿勢を強めた結果であろうが、いつまでもリコールが続くようだと、開示姿勢ヲ評価する声だけでなく欠陥車を市場に出し続けるトヨタ之姿勢が問われるのではないか。トヨタ車の信頼は低下する一方ではないか。その後、電子制御にかかわる急加速問題については2010年8月米運輸省の中間報告により車両の欠陥でなく運転ミス説が強くなった)。リコール問題でブランドイメージを大きく損なったトヨタは、値引きやゼロ金利などの販促で消費を維持しようとしたが、同様の販促をかけるGM、フォードなどに押される結果となった。
またNUMMIの閉鎖(2009年4月生産終了)でもUAWなどの反発を買い、トヨタのイメージは傷ついた(これは2009年6月に法的整理に追い込まれたGMが撤退を表明したあと、トヨタに期待が集まったため。2010年3月にトヨタは従業員に対し2億8000万ドルの財政支援金支払いで合意し、閉鎖委承認をとりつけた。2010年11月末にはトヨタが旧GMに対し損害賠償請求を連邦破産裁判所に申し建てていたことが分かった。内容は違約金7380万ドル)。日本のトヨタとして別の対応はなかったのか、疑問は残る。
リコールとNUMMIの対応でトヨタと日本企業のブランドイメージは傷付いた。
トヨタ マツダにハイブリッド装置供給で合意(2010年2月29日発表)
フォード傘下にあったマツダは、2009年春にハイブリッド装置(大容量電池 走行用モーター 発電専用モーター 制御ユニットなど)の供給をトヨタに要請した。自社開発を目指していたものの(2015年に市場参入をめざしていた)、市場への参入を急ぐため基幹装置の供給を依頼したもの。トヨタとしても生産規模を拡大してコスト削減につなげるメリットがあるが、本格的な供給はこれが最初。これによりマツダは2013年にも国内HV市場参入(北米では2012年参入目指す)をめざす。
トヨタ テスラとの提携を示す(2010年5月20日)
2010年5月20日になって、トヨタはEV車の開発販売をするアメリカのVBであるテスラモーターズとの資本業務提携を発表している。
テスラモーターズは2003年設立 2008年に2人のりロードスター発売 専用電池でなく汎用電池を使用する特徴 欧米で1000台以上の実績 2010年6月ナスダック上場 2011年にモデルXのコセプトモデル発表予定 2012年に量産型セダン、モデルSの発売を予定。このテスラトトヨタはと資本業務提携を5月20日発表した。
トヨタが5000万ドルを出資。共同開発したEVをNUMMI(トヨタ、GMの合弁事業として1984年生産開始 トヨタ GM双方にとって相手の生産方式を学ぶ意義があった)の跡地で生産するとした。現地に主導権を譲り、本社技術陣は関与しないという。新車の研究開発を本社主導で進めてきたトヨタの伝統的体制を崩すモデルケースとされる。トヨタの同様の現地化の試みは、インドや中国でも始まっている(インドでは現地生産比率を上げることで低価格化が実現できる)。また海外拠点で現地法人への権限委譲、現地の人材の要職への登用を加速している。
GMがトヨタに先行するが
トヨタがEVで動かないなか、GMが2010年12月にEV発売でトヨタに先行したことは、GMの復活を印象つけた。
GM(アカーソン最高経営責任者)は2010年11月30日デトロイトの向上でEV車シボレー・ボルト野発売記念式典を開いた。12月中にも顧客への引き渡しが始まるとのことなのでリーフとほぼ同スピード。
生産コストの高さが課題とされ1台4万1000ドルとのこと(生産コスト=販売価格で儲けはないとも)。初年度300-500台の販売とされ、販売を急いだことが伺える。2011年の販売計画は1万台。3年目に4万5000台。ドイツでオペルブランドのもと「アンペア」の車名で販売。なおボルトについては当面、日本での販売計画はない。
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