Entrance for Studies in Finance

District 9 (2009)

異星人映画だが切り口はこれまでの映画にないもので新鮮。学者や関係者の証言で事実が浮かびあがるように巧みに設計されている。突然巨大な宇宙船で現れた彼らは進んだ文明をもっているはずだが、地球で住まわされるところは汚いところで差別されている。姿はエビのよう。住んでいるところは南アフリカ、ヨハネスブルグの郊外District 9という想定。明らかに南アフリカのソエト(貧しい黒人居住区)がイメージされる。主人公は、彼らの移住計画の責任者。捜索に入ったところで謎の液体を浴びてその運命は一変する。映画は記録をつなぎ合わせるように進んでゆく。低予算という話だが、有名俳優はでてこないものの特撮も上出来。軍事産業絡みというのはこれまでも出てくるけれど、なによりお話が息継ぐ間もなく展開してゆく。
お話はケープタウンのDistrict 6で1966-1982にかけて行われた強制移住に着想をえているといえる、異形の者を毛嫌いするxenophobia、そうした人々の社会的隔離social segregationをするどく告発している。
この映画はlord of the ring のPeter Jackson(NZ)監督作品だからマイナー映画ともいえない。ベースにはNei Blomkamp(今回の共同監督)が2005年に発表したAlive in Joburgがあり、これは当然よく似ている。今回District 9で主演しているSharto CopleyはこのAlive in Joburgの製作者の一人。つまりニュージーランドと南アフリカから発信された映画という点でも、注目される。

surrogates(2009)では、人間のsurrogates化に反対する人たちが自分たちの居住区を作って自ら分離していた。分離するというやりかたには、異分子を排除して追い出す方法もあれば、自ら閉じこもりよそ者を入れないという方法もあるわけだ。

District 9 HD trailer
alive in joburg

2010-04-12(2016-05-31更新)

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「Cinema Reviews」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
2024年
2023年
人気記事