これまでも全日空のシステムはときどき問題が起きている。今回問題を起こしたシステムの設計は全日空の子会社。今回のスイッチ部分は米シスコ、ATCP部分は東芝G、ICSは日本ユニシスが納入している。事前に生じていた能力の低下、当日の障害の発生理由など未解明の点が多い。
2007年5月のシステムダウンのときには、全日空が日本ユニシスとともに、2006年4月から基幹システムのオープン化を進めていることが影響しているともされた。すでに全日空は2003年4月から運航管理系については日本HP(Oracle)とオープン化を始めている。メインフレームに依存しないオープン化は、いまや社内システム構築のキーワードだ。オープン化はコスト削減が目的だ。しかしオープン化に進むには社内のリスク管理が不十分なのでははないか。オープン化については、システム切り替え時の障害リスクを軽視しているのではないか、システムの安定性が将来的に保てるのか疑問がある、など懸念材料も多い。原因がオープン化にあるとは単純化できないが、やや多発気味のシステム障害は、全日空の評価を下げる要因になるため、早急な対策が必要だ。
日本航空にくらべて経営財務体質がよいとされてきた全日空にとってシステムの問題は死角になっている。
2007年5月 全日空発券システムに障害 2日間で130便が欠航。約7万人に影響。
2005年9月 全日空手荷物自動仕分け装置が故障。2欠航。3万6000人に影響。
2003年3月 全日空のコンピュータネットワークがダウン。2日間で155便が欠航。約10万人に影響。
なお日本航空の予約・発券システムはIBM製で2008年3月に競争力強化の一環として新システムに3年計画で切り替えることを発表している。またJRの発券システムはシステムの設計はJRの子会社で機械の方は日立(一部沖電気)製とされている。
なお参考までに。各銀行の勘定系メインフレームは、三菱東京UFJはIBM(UFJの日立からIBMに一本化)、みずほが、みずほ銀行が富士通、みずほコーポが日立。三井住友がNECである。りそな、新生、あおぞらなど、外資ファンドがからんだ銀行はおしなべてIBM。
Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
内部統制とBCP
内部統制ルール(internal control rule)の導入
リスク時の対応(1):新潟県中越沖地震によるリケン柏崎工場の被災。修正が求められるカンバン方式。
リスク時の対応(2):三菱化学鹿島営業所の火災。企業は原料の途絶にどう対応したか。BCP(事業継続計画)
システム障害
システム障害:東証の場合(08-07-22ほか)
back to the top
最新の画像もっと見る
最近の「Economics」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事