Entrance for Studies in Finance

菊池正俊『外国人投資家の儲け方と発想法』日本実業出版社, 2017

この本の本当の表題は『No.1ステラジストが教える日本株を動かす外国人投資家の儲け方と発想法』。著者は1986年に東大農学部卒業後 大和証券 1991年に米国コーネル大学でMBA 大和総研 メリルリンチ日本証券をへてみずほ証券エクイティ調査部チーフ株式ストラジスト。外国人投資家について数多くの著作がある。著者によると
2014年10月のGPIF年金積立金管理運用独立法人の資産配分変更は、すでに日本株の目標比重である25%を達成しこれ以上の日本株買いは期待できない
日銀が2016年7月にETF購入額を年3.3兆円から6兆円にほぼ倍増させたことは(安倍政権発足以来の日本株購入額で日銀が外国人を上回り最大の買い手になることになり)株価指数に連動したパッシブ買い、株価のバリュエーションをゆがめており株式市場の社会主義化として外国人投資家の評判が悪い。2017年8月末のETF残高は15兆円。仮に5000億円ずつ売却しても30年かかる。出口がどうなるか注目されている
 2016年11月の米大統領選挙後 米国債利回りが上昇したとき 日本株を買う動きが戻った その後 トランプの政策の実現が遅れ 米国国債利回りが低下すると 日本株買いは再び減少
 2017年7-8月は決算がよかったにもかかわらず株主還元への失望もあって売り越し 9-10月は買い越し(米国国債利回りの反発 トランプ減税成立の見込み 衆院選での自民党勝利など)
 米国における FANG(フェイスブック アマゾン ネットフリックス グーグル) 中国のアリババやテンセント のような大型成長株があれば 日本株の評価につながる
 東証の売買シェアで外国人投資家は6-7割 個人投資家は約2割
 日本の株式(東証一部)は安定株=政策保有株主が50%程度とされている 外国人投資家の保有比率は約30%(2015~2016年度)
 基本的に時価総額の大きな業種に関心がある 英語での情報開示がない企業は嫌われる
 銀行株と不動産株は日本の内需を著す代表的業種だと思われているため アベノミクスの評価が下がると両業種とも売られる
 そのため時価総額が下がると 日本株無視につながる
 アップル 80兆円 アマゾン50兆円  → トヨタ自動車20兆円  三菱UFJ10兆円
 運用資産150兆円のGPIFの動向は注目のまと 2017年7月 ESGパッシブ指数を採用 ESGが高い評価が今後注目される
 事業会社の自社株買いは日銀のETFと並ぶ需給安定要因だが その売買シェアは1%に過ぎない
 外国人投資家の日本株売買には 4月に買い越し(1ー3月の海外株の強まりに対し出遅れの日本株への関心高まる 4月の業績発表 上方修正期待)、8-9月売り越しという強い季節性がある
 TOPIXよりは運用対象によりMSCIのACWI(all country world 日本を含む世界株 47ケ国 2495社 2018年1月現在;なお日本を含む先進国株はMSCI World 23ケ国1649社;日本を除く先進国株は MSCI KOKUSAI 22ケ国 1328社;新興国株はMSCI Emerging Markets 24ケ国 846社), EAFE,Japanなどがベンチマークになる(日経平均は使われていない) 多くの外国人投資家は低成長の日本株を構造的に(ベンチマークである指数における比重より)アンダーウェイトしており、景気や業績のよいときだけ中立に近づけるケースが多い 外国人投資家が実際につかっているのは米指数算出会社MSCIの様々な指数
 大量保有報告書制度 1990年に導入 保有率が5%をこえたとき 1%ポイント以上の変動があったとき 金融庁のEDINETで判明する・・・投資の本気度がわかる。米国の確定拠出年金制度401k 英国のISAなどが 米国のの運用会社の規模につながっている 加えて政府資金を裏付けとするSWF
 世界にヘッジファンドは1万以上ある マネジメントフィーは1.3-1.4%  パーフォマンスフィーは16.9%-18.0%で約2割(2016年―2017年上期) ほとんどは英米にオフィス
 ミリ秒単位の高速でさや抜きを繰り返す取引をHFTと呼ぶ
 米国で約定株数の5割 欧州で4割
 日本では2010年1月に東証で アローヘッドが稼働したことではやり始め 東証の売買に占めるコロケーション比率は注文件数で6-7割 約定件数で4-5割 
日本人が想像する以上にコーポレートガバナンスを求めている。株式持合い解消が遅いことに不満を抱いている。

 

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