Entrance for Studies in Finance

Case Study on EMS in Taiwan

台湾のEMS: electronic manufacturing service:電子機器の受託製造サービス)

台湾では特定分野に特化することで規模を拡大し、生産コストの引き下げを実現。世界市場に一定の存在感のある、電子機器や関連部品の受託製造EMSなどIT関連企業群が形成された。 製品寿命の短期化も背景。EMSのうち半導体の受託製造に特化したものはファウンドリ-サービスfoundry serviceという。もともとは北米で発達。米クアルコム(通信用チップなど)。米エヌビデイア(画像処理チップなど)。など。製造するのは独自機能をもつシステムLSIなど。汎用DRAMに比べ利益率高い特徴。草分けとしてソレクトロン(IBMやHPの委託で1988頃から伸びる 2003年以降業績低迷 2007に同業のソレクトロンにより36億ドルで買収される) 台湾企業のほか シンガポールのフレクストロニクス アメリカのジェイビルサーキット カナダのセレスティカ(米IBMのトロント工場のMBOがきっかけ)など。


 人口2300万の台湾であるが 代表的EMSとして、ホンハイ TSMC、エイサー エイエイースなど。他方、委託で伸びた日本企業としては東芝 ソニー(PlayStation) 任天堂(Wii)などが有名。現在もスマホやタブレット端末向け需要は堅調に推移している。
 台湾のファウンドリー(顧客から受け取った回路の設計データに沿って、半導体チップの生産を代行する専門会社)。ファウンドリー成長の背景にあるのは年間数千億円単位の投資の必要性。また需要サイクルによる繁忙格差。そこで半導体の生産を委託し、自身は半導体の設計開発に手中するファブレス企業が増加した。受ける側は稼働率を引き上げるメリット。
 代表的な企業として、半導体LSIでは、台湾積体電路製造(TSMC1987年設立 ファウンドリー世界最大手 世界シェア5割 2013年46.3%)、聯華電子(UMC、ファウンドリ-で50%、世界2位 2013年の数値では2位は米国のグローバルファウンドリーズ9.9% UMCは9.2%で3位 4位が9.2%でサムソン電子)など。ファウンドリーは1990年代後半に急成長。2008-2009と落ち込むが、その後 スマホ向け省電力型半導体チップの引き合いで成長。米国の注文主の事例として、ファブレス大手のクアルコム、ブロードコムなど。ファウンドリー市場規模は2012年に、2011年(推定市場規模265億ドル)から12%程度伸びる見通し(2012年12月)。

foundry service 一人勝ちとされるTSMC
台湾積体電路製造(TSMC 半導体の受託製造で世界最大手 半導体受注で世界シェア5 1987年設立 ファウンドリーという業態を生み出したとされる スマホ向け半導体が好調 積極投資で好調を維持 サムソンと違いスマホなどに製品部門がないため技術流出の懸念がないため顧客が発注しやすい。アップルはiPhone向けCPUの発注を2014年秋発売の新モデルからTSMCに全面的に切り替えた。技術力を維持するため生産能力の9割超を台湾においている。 サムソン電子と技術開発で競争関係。高額スマホ用から低価格スマホまで幅広く受注。工場の稼働率を高め高収益を実現。2014年7-9月の売上額は2060から2090億台湾ドル 売上高営業利益率は38.5-40.5%の驚異的水準にある。スマホ用半導体で高投資と好調を維持ではあるが中国メーカーとの競合激しい。次期事業はなお模索(2015年1月発光ダイオード事業LEDの売却撤退を発表)。カリスマ経営者張忠謀董事长の後継者も課題。
サプライチェーンの安全の観点からTSMCへの過度の依存を心配する意見もある。

2012 ファウンドリー で1位TSMCは揺るがなかったもののシェア44% 2位はグローバルファウンドリーズ 3位に韓国サムソン電子(工場の稼働率向上のためファウンドリーに積極参入)が浮上
 2013年1月にグループ売上高前年同月比37.1%増474億臺灣ドル(約1490億円)。大口顧客が分散しているため アップルに結果として傾斜。 ホンハイに比べて業績に安定感あり。パソコン等の画像処理に使う大規模集積回路LSIなどが主力。ファウンドリー(半導体受託生産最大手)。張忠謀CEO。
 2008年の景気悪化時は投資抑制
 2009年4月 富士通が40ナノより先のシステムLSIの自社生産をあきらめTSMCに委託を決定
 2009年11月 中国の同業大手 中芯国際集成電気路製造(SMIC)との米国での訴訟(営業機密の流用)で両社が和解 SMICがTSMCに現金2億ドルを支払うほか株式のワラントを譲渡する
 2009年12月 台湾の太陽電池セル最大手 茂迪(モ―テック)に20%出資して筆頭株主になると発表(太陽光発電関連事業に本格参入) 
 2010年2月 台湾政府 大型パネル工場の建設 300ミリウエハ―対応の工場を持つ中国企業への出資認める →TSMC 中国の同業大手 中芯国際集成電気路製造(SMIC)への10%出資を当局に申請
 2010年7月 TSMC 台湾経済部(経済産業省)の出資認可によりSMICの発行済株式の8%を無償で取得(同2%相当のワラントも譲渡)
 2010年7月 台湾北部の新竹、南部の台南の2工場の生産能力を年末までに2割増強と発表 設備投資の当初計画比上方修正を発表
2012年12月期 売上高1.7兆円 純利益5600億円 営業利益率35.8%と高水準 これを武器に社債などで市場から資金を調達 2012年の設備投資83億ドルは過去最高。2013年にも米インテルと互角の100億ドル規模の投資を予定。
 20137-9月期純決算 前年同期比5%増520億台湾ドル1732億円 2期連続で過去最高
       売上高  15%増の1626億台湾ドル 2期連続で過去最高
       営業利益率36.7%過去最高   
 タブレ スマホ向けLSIの受注 受託生産好調に推移 値崩れしにくい最先端LSIの世界シェア84%。2013年 97億ドル(9900億円)の積極投資 2014年7-9月 米アップルのiPhone6の販売が好調⇒iPhone6向け半導体CPUを生産するTSMCの好決算前年同期比47%増763億台湾ドル(2671億円) 中国の低価格スマホ用の需要も伸びる 2015年4-6月にも線幅16ナノの次世代工場が稼働

聯発科技(メデアティック) スマホの頭脳となるLSIで強い(スマホ向けLSIで2013年世界第三位 クアルコム54%、アップル16%、メデイアテック10% 低価格スマホの影の主役とされる 中高価格帯ノスマホ向け市場はクアルコムが独占)。2007年に新規

2014年8月 元社員による機密漏えいの疑いで法務部による捜査が行われた。中国企業に情報が流れた疑い(2013年12月にも情報を持ち出し中国の同業に入社したとして元幹部を同社は刑事告訴)

メデイアテックはファブレスメーカーで、中国製低価格スマホ(200ドル未満)の急拡大(最終製品の値下がり)を米クアルコムと並んで支えているとされる(2012年の中国でのスマホ向けLSIシェアは33%-52% 2013年に47%-35%と逆転)。台湾での開発でこだわることで開発コストを抑え、レファレンス(推奨部品リスト)を通じて推奨部品を売り込む。競合は中国のファブレス。華為傘下の深圳市半導体、独立系の展讯通信(スプレッドトラム)など。スプレッドトラムの中国スマホ向けLSIシェアは2012年7% 2013年13%と倍増している。

2014年7-9月期をpeakにメデイアテックの業績(売上高・純利益)が低下を始めた。背景はスマホ市場の伸びの鈍化、スマホ市場内の価格競争激化である(なお日本国内の携帯生産台数peakは2007年。アップルがIPhoneを発売した年だ。)。

背景には中国スマホメーカーの値下げ要求がある。華為技術(ファーウェイ 1987年創業 通信機器メーカーとしてエリクソンに次ぎ世界2位 2013年にはスマホで世界3位)はサムソン、アップルに迫る3番手。4番手には中興通讯(ZTE)とされてきたが.北京小米科技シャオミ 2010年4月設立 ネットで3-4割を売る戦略 2013年秋液晶テレビ:小米電視 2014年タブレットにも参入:小米平板 2015年1月大画面スマホ:小米ノート発売)の追い上げが激しい。欧珀(OPPO)、レノボ、家電大手のTCL集団、宇竜計算機通信科技(クールパッド)。インドではマイクロマックス、それぞれの地場メーカーが迫る。2014年に3位についたのは小米(創業者は雷軍氏:中国のジョブズ SNSを通じた販売を主導)。そのシャオミの品質を支える形になっているのは、日本メーカーである(小米3:2013/10発売の液晶はシャープとLG電子、画像センサーはソニー 半導体はTSMCと米エヌビデイア 組み立てはホンハイなどが本土で タブレット:液晶パネルはシャープ、友達光電 大画面スマホ:液晶パネルでシャープ、ジャパンデイスプレイ 画像センサーとリチウム電池でソニー)。

可成科技(キャッチャーテクノロジー) 2014年9月にお披露目されたiPhone6で金属筐体を大口受注で注目。金属筐体で世界シェア3割。金型や表面処理技術を自社開発。筐体ではホンハイと並ぶ。筐体の分野はホンハイと2社で7-8割。12年12月期の営業利益率は33%。

大立光電(ラーガン・プレシジョン) スマホ内臓カメラの極小プラスチックレンズを生産。厚さ0.1ミリ。400を超える自社特許(低コストプラスチックレンズなどの特許をいち早く取得 射出成型技術)。


the largest EMS 鴻海G(ホンハイ)EMS世界最大手
 中核子会社が 富士康科技集団(フォックスコン)
 鴻海精密工業(EMSで世界最大手 広東省深曙V市に生産子会社 iPhoneの独占供給 iPodの製造代行で有名 HPのパソコン プリンター 任天堂のゲーム機も受託) 世界最大のEMS アップルの受託製造メーカーとして有名
 アップルを主要取引先とすることから アップルの成長鈍化により 今後の成長に懸念(2013年春)
アップルとの信頼関係は1998年のiMacの製造委託以来と古く深い(日本から継承した高い金型技術が裏付け)
 アップル生産の大半を受託生産 日本の顧客として ソニー 任天堂 シャープなど。
  2009年9月 ソニーのメキシコ工場(液晶テレビ生産)買収決定(2009年末にソニーはメキシコ拠点を売却)
  2009年12月 デルのポーランド工場(パソコン)買収を発表  
20103月 フォックスコンが液晶パネル4位 奇美電子(大型パネル中心日本の船井電機とも取引)を吸収合併合併相手は鴻海Gの群創光電(モニター用中心)。液晶パネルで世界3位を目指す
  合併後の企業売上高規模は6.8兆円規模(2008年)。ソニー(7.7兆円)、サムソン(9.4兆円)、パナソニック+三洋(9.5兆円)、HP(10.6兆円)と並ぶ企業グループの誕生。
2010年5月 中国鴻海での連続自殺事件
 2010年5月-6月 フォックスコンの工場で連続自殺者問題
 2010年8月 問題のフォックスコンの工場で規模縮小の噂広がる
  従業員規模40万人(45万とも 中国全土では90万) iPadの主力工場
  沿海部の加工貿易モデルの象徴
 2010年8月 鴻海精密工業 中国法人の従業員規模を4割増しにして残業を削減へ
  基本給を2段階で2倍超に引き上げ 内陸部への生産移転 などは発表済み
  顧客企業に受託費引き上げを打診の模様
 2010年9月 ソニーがスロバキアの液晶テレビ生産拠点をフォックスコンに売却
 液晶パネルの奇美電子、日本のシャープを支援。
2013年3月 シャープ ホンハイの提携から1年 

 電子機器OEM*では鴻海精密工業(EMSで世界最大 広東省新線曙V市に生産子会社 iPodの製造代行で有名 2011年12月期の売上高9兆6361億円 従業員96万人)、液晶パネルでは、世界第3位の友達光電(AU Optronics)、奇美電子(ホンハイが買収)、そしてパソコンでは、最大手に宏碁(エイサーAcer)、ノート型PCでは、世界最大手の広達電脳(Quantaクアンタコンピュータ)、あるいは仁宝電能(Compal)などがある。
 たとえばソニ-の注文はQunataで、富士通の注文はQuantaやCompalで受注しているとされる。なお台湾の企業が受注しているとしても、生産が中国に移ったものについては、輸出は中国から行われる。
*orginal equipment manufacturerとは相手先ブランドによる生産を受け負うメーカーを意味するが、そうした生産方式を指すこともある。受け負うもののデザインについてこのメーカー側の機能が高まると、OEMはoriginal design manufacturer: ODMに発展する。また生産者側と利用者側がデザイン段階から協力する方法をデザインインと呼んでいる。下請の技術者がデザイン段階から協力することで生産性やコストで改善しやすいことが背景にある。

 ホンハイ 鴻海精密工業 郭台銘董事长
 1974年創設 ソニー 任天堂を顧客に アップルのiPhone iPadの受託生産で急成長 90年台にEMS参入 2000年台は売上高が前年比50-70%伸びる急成長 低い利益率を売上高の伸びでカバーする事業モデル 2012-2013 アップルの成長の減速の影響受ける。 中国での人件費上昇で受託生産の収益悪化
 2012年6月  家電量販事業の強化を表明 
 201212月期 連結売上高13兆円に迫る 売上高の4-5割を占めるアップル向けが減速 
2013
1月 傘下の量販店で自社ブランド 液晶テレビ拡販(事業モデルの転換か? アップル依存のリスクを軽減)
 20131-3月 連結売上高 3年半ぶりに減少
 2013年春  中国や台湾で展開する家電量販店(自前の小売網あり)の一部閉鎖を決定
 2013年6月  株主総会でコネクター事業(世界3位規模)の分社化を表明
 2013年9月  台湾での4Gサービスの周波帯入札に参加(2014年にも事業開始)

 2013年12月期 売上高3兆9523億台湾ドル(13兆2800億円)前期比1%増 2009年以来の低い伸び 営業利益も1%増の1093億台湾ドル
 2014年4-6月期 5四半期ぶりの売上高減収(前年同期比2%減)8790億台湾ドル(2兆9900億円) アップルの受注は4-5割を占め利益率は低いが受注の伸びが命綱。iPhoneや北京小米科技(シャオミ)向けは好調だったが、iPadが伸びなかった。人件費の増加を受けて生産の自動化を進めた結果 営業利益は50%増の279億台湾ドル。売上高営業利益率は3.2%と3%台を回復。純利益は19%増の201億台湾ドル。他方2014年6月 2003年から中国で合弁で展開している家電量販事業の運営会社の株を中国の投資会社に売却して、撤退することを明らかにした。ネット販売は継続の方針。家電量販は値引き競争が激しく苦戦が続いていたとのこと。家電量販事業など流通事業は、川上から川下まで一貫して手掛ける「垂直統合戦略」とされるが(自動化による余剰人員の吸収 受託したものを自社の流通網で売る相乗効果)、ノウハウや人材不足でうまくいっていない。

   2014年秋以降 IPhone6の販売好はホンハイを潤したが、同時にアップル依存リスクをホンハイは強く意識.多角化を早くからさぐっているとされる。狙いの一つは自動車の受託生産だとされ、2005年に台湾の自動車部品メーカーを買収して以来、着々と布石をうっている。もう一つ目となりそうなのが通信事業。2014年6月に台湾の通信会社に出資、12月には高速通信サービス4Gを始めている。

 このほか台湾企業の素材産業として台湾塑膠工業集団(台塑石化、台湾塑膠工業など)、中国鋼鉄。また中国に進出して業績を伸ばしている、食品最大手の統一企業など。

聯華電子(UMC)について

ファウンドリーで2011には半導体受託製造で世界2位 なお3位は米グローバル・ファウンドリーズ 2012年にサムソン電子の躍進で4位に転落している なお2013年には世界3  2008年の景気悪化時は投資抑制
2010年2月 台湾政府 大型パネル工場の建設 300ミリウエハ―対応の工場を持つ中国企業への出資認める → UMC  中国の和艦科技(UMC)を全額出資子会社化 (2005年にすでに子会社化したものの批判があり信託に株式預けていた)
 2010年5月 シンガポールと台湾台南の工場(携帯電話などに使う大規模集積回路LSI工場)の設備増強を発表
 中国での半導体需要に対応して2014年10月 中国福建省アモイ市に直径300ミリの先端工場を新たに設けて半導体を受託生産(合弁生産)を始める(2016年第四半期稼働予定)と発表した。総事業費62億ドルでUMCは13.5億ドルを出資。UMCはすでに200ミリウェハーの旧世代工場を中国の保有(TSMCも同様)。競争激化に対応して先端工場設置に踏み切るもの。


奇美電子 液晶パネル大手 世界4位 液晶はサムソン電子 LG電子 奇美電子 友達電子の順 群創光電(旧 奇美電子 チーメイ 20126月末に社名変更)
 2010年2月 フォックスコンが液晶パネル4位 奇美電子を吸収合併 自社Gの群創光電と合併させて 液晶世界3位を形成。
 群創光電 モバイルやテレビ向け液晶が好調 2012年10-12月期 10四半期ぶりに営業黒字に転換(2013年3月)

友達光電(AUO) 液晶パネルで世界でも大手
 液晶で世界大手 世界ランクは4位
友達光電AUOはサムソン、LGフィリップスとほぼ互角の液晶パネルメーカーである。2006年10月に台湾の広輝電子を合併し世界3位世界シェア19%となった。
 2009年6月 中国の家電大手、四川長虹電器と合弁で四川省綿陽市に液晶パネル組み立て工場設立を発表 年内に生産開始予定
 2009年12月 スロバキアに液晶テレビ向けパネル組み立て工場建設を発表
2010年3月 江蘇省昆山にパネル工場建設へ投資額30億ドル 第7.5世代のお大型硝子基板を使う
 2010年6月 米3Mと次世代タッチパネルの共同開発(3Mのタッチパネル技術の導入)を発表
 2010年7月 液晶パネルをめぐるアメリカでの独占禁止法違反事件(2006年調査開始 日韓台の8社が対象)で徹底抗戦続ける
 2010年7月 台湾中部彰化県に液晶パネルと太陽電池工場を2つずつ新設する計画を発表
 2010年8月 友達光電幹部3人にカリフォルニア州連邦地裁が出国禁止命令
 2010年8月 中国広東省中山市で液晶テレビの受託生産をしている台湾の緯創資通(ウイストロン)との共同出資で液晶パネルの組み立て工場設置を発表
 2010年9月 液晶テレビEMSで世界最大手の台湾系企業、冠捷科技(TPV)と共同でブラジルにパネル後工程の組み立て工場建設を発表
 2010年11月 ソニーから継承したFED(電界放出型デイスプレー)を2011年冬にも量産する方針 なおソニーは有機EL と FED とを次世代D技術として研究開発したものの2005年に有機ELに注力する方針を決定 FED事業を分離独立させた経緯がある この技術資産を2010年1月AUOは買収した
 有機ELで試験生産入り(2012年春)

広達電脳(Quanta クアンタ)
  ノート型パソコンODM(相手先ブランドによる設計・生産)の世界最大手。台湾のEMSは世界のノート型パソコンの受託生産の9割を握る。超薄型軽量のウルトラブックの受注増加(2012年春)
  ノート型パソコンはタブレットと競合 受注競争も激しく受託生産料も低下 また人件費も上昇している 工場の中国内陸部への移転 pソコン以外の業務への展開を図っている 米グーグルのタブレットネクサス7の生産を受注(2012年7月発売開始)
  また米アマゾンのキンドルファイアの新製品も受注
  データセンター用サーバー製造にも参入(2010年)
 ホンハイがノートパソコン受託生産に参入するなかクラウド事業(ネットワーク経由でソフトを提供するなど)強化へ
 台湾域内でクラウド事業用データセンター建設中(2012年春)
 スマホ受託の上場子会社華宝通讯を吸収合併(2014年2月) スマホ製造受注体制急ぐ

広達電脳以外のノートパソコンEMS大手
 仁宝電能工業(Compal コンパル):スマホなどパソコン以外の受注を増やしている

ノートパソコン 中国での低コスト生産で伸びたが パソコンの出荷台数減少 タブレットとの競合。スマホ タブレットへの切り替え急ぐ
 緯創資通(ウイストロン):宏碁(エイサーAcer)の生産部門が独立したもの、タブレットの受注を増やしている
 和碩聯合科技(ペガトロン):米MSのタブレット、サーフェスを受注見込み(2012年内発売開始予定)
 英業達(インベンテック) 
 鴻海精密工業(EMSで世界最大手が本格参入する見通し)

宏達国際電子(HTC1997年 通信機器のOEM供給(受託生産会社として)主力に創業  台湾のスマホメーカーの老舗 2006年 自社ブランドの携帯電話発売 受託生産からの脱却として期待された
  2008年 アンドロイド搭載スマホを商品化
  2011年スマホ大手 一時米アップルと競争し期待される その後 サムソンの攻勢で2012年以降後退。自社ブランドの成功モデルとされたが2012年末には世界シェア5位から落ちる。高価格帯商品多く 新興国で伸び悩む。サムソンと比べマーケテイング力(かける費用を含めて)が弱い。
  2013年4月 社運をかけてHTC One発売
  2013年7月 HTC One mini発売 
  20137-9月 2002年の上場来初の30億台湾ドル(約100億円)赤字 苦境にある 台湾ブランドの苦境を象徴 スマホではサムソン電子などと競争激化。2014年10月 グーグルと共同開発したタブレット「ネクサス9」(1年ぶりに更新された新OSアドロイド5.0搭載)の先行予約開始。 2013年8月 設計部門幹部が機密を盗み中国企業と共同開発しようとした容疑で逮捕される
 パソコン 世界出荷台数 2013年は前年比10.1%減 台湾はノート型パソコンで世界9割のシェア。それが裏目。タブレットで中韓が台頭(タブレットでの台湾のシェアは2012年69% 2013年50% 韓国サムソン電子 中国レノボが急伸

  2015年3月 HTC One M9の発売で起死回生を狙う。

台湾の代表的PCメーカー 宏碁(エイサーAcer)のアセットライト戦略 世界出荷台数でHP、デルに続き3位(2008-2009年) 2010年には世界2位
  台湾 エイサーの躍進 2011年には世界4位 アセットライト戦略 および 単一品目化(パソコンにこだわる) の失敗例
  メーカーではなくマーケテイング会社目指す 創業者 施振栄(スタン・シー)・・・スマイルカーブ理論を提唱。自身のブランドにこだわり1990年代に自ら利益の高い両端に事業を拡大 投資の分散の結果大手との競争に失敗し工場を手放したとの評価もある・・・ホンハイやTSMCが結果として成功 現在のCEOは王振堂 アセットライト戦略(低価格品の大量販売)で有名 外部に生産を委託 販売に注力 研究開発まで外部依存強まると革新的商品を生み出せなくなること 製造は台湾のEMSメーカーに委託。
  2007年に米ゲートウエイ買収
  Acerは2007年8月27日、米国のGateway買収で合意したと発表した。買収金額は約7.1億ドル(約824億円)。Lenovoを抜いて再び世界シェア3  位となった(シェア8.1%)。なお1位はHewlet-Packard。2位がDellである。
  2008年に欧州ペッカーベルを買収 エイサーブランドは欧州では通用。米ではゲートウエイブランドを活用。
  2008夏 低価格パソコンネットブックがあたる

  2009年夏 欧州でスマートフォン発売
  2009年秋 パソコンで世界2位メーカーに浮上(世界シェア13% topはHP)
  2010年11月 営業拠点を来年初めから重慶にも開設すると発表(エイサーは生産部門をもたず生産は委託。これまでの中国での営業拠点は上海のみ このほか江蘇省昆山にグローバル製造センター設置)
  2010年11月 iPad型(タブレット端末 多機能端末)3機種を正式発表 発売は2011年2月から順次
 (エイサーのスマホ タブレットが販売不振 背景には研究開発力の低下他社に比べて研究開発投資が極端に小さい 工場分離したときに研究開発まで切り捨てる選択が裏目に出る 主力市場の欧州が欧州機器 主力の個人向けパソコンがタブレットに押される)
  2000以降 アセットライト戦略 低価格品の大量販売で伸びる タブレット スマホ事業の強化で遅れる
  20134-6月期 7四半期ぶりの営業赤字転落
  20137-9月期 131億台湾ドル(440億円)の最終赤字 パソコン販売(世界シェア4位)減少響く 
  背景 2007-2008買収のゲートウェイ パッカードベルなどののれん代減損処理
  2013年11月 王振堂CEO突然辞任 創業者の施振栄氏再登板 リストラ策発表

  2014年1-3月期 売上は前年同期比17%減の767台湾億ドル最終損益は100万台湾ドル(340万円)の黒字 黒字は4四半期ぶり

2014年5月 施振栄氏が6月退任発表 2014年10月マイクロソフトが開発中の次期基本OSウインドウズ10を公開(2015年半ば発売予定)⇒ウインドウズ搭載のエイサーの販売増に期待

 
パソコンEMS タブレットに注力 パソコンの需要低迷が重荷 自社ブランドによる生産・販売への転換図る  華碩電脳(旧アスース 現エイスース Asus
パソコン用回路基板であるマザーボード世界最大手 パソコン大手
  2007FeePCでnotebookの火付け役演じる(約250ドル)
  ミニノートの低価格化 ネットブックの発売で先鞭 高い技術力示す iPodを受託生産

  2008年 EMS会社ペガトロン(童子賢董事长)を分離独立させる (ペガトロン:和碩聯合科技は2010年発売のiPhone4を少量受注。2013年には5cを大量受注。さらに2014年9月発売のIPhone6の受注に成功 急激に業績伸ばす 2015年にはEMSの売上高でホンハイに次ぎ台湾で2位との評価。今後はアップル以外に顧客を広げる方針)
  超薄型・軽量パソコン「ウルトラブック」の販売が好調(2012年夏)
  グーグルのネクサス7をグーグルと共同開発 商品開発力には定評
  タブレットに注力している 2011年パソコン世界出荷シェアは5.7%で世界5位
  2013年4-6月期 9四半期ぶりの減益 
  エイサーに比べると経営は安定 世界5位 世界4位で同様に個人向けパソコンに強いエイサーと合併観測(2013年8月末)
パソコンの世界上位3社は法人向けに強い 個人向けパシコンが急減している。

かつての勢いがないDRAMメーカー
 DRAMはパソコン販売の好不調の影響に加え、回路幅がより微細な最先端品に生産が移行するとともに採算ラインが変わってゆく(低価格 低消費電力)。というのも供給圧力から価格が低下してゆくからで、投資競争を続ける企業だけが生き残れる。最先端の30ナノメートルの量産に日本のエルピーダと韓国のサムソンが到達している(2010年9月)。DRAMには、パソコン用のものと、スマートフォン・タブレット端末向けのもの(高い低消費電力性能が求められ回路構成も複雑)があるが、後者の需要・値動きが堅調であるのに、前者は欧米でのパソコン需要の伸び悩みから値崩れしている(2010年9月)。背景にパソコンメーカー側の適正水準を超えた在庫がある。タブレット端末が増えているが、ノートパソコンに比べてiPadに代表されるタブレット型端末はDRAM搭載量が少ないということ(需要構造の変化)も響いているとのこと。 
 こうしたなかでかつて台湾経済をけん引したDRAMメーカーは苦境にある。
 2010年11月にエルピーダメモリでは、半導体DRAM(低採算品)の生産調整(減産)、台湾の端晶電子(2007年に力晶半導体との合弁で発足。エルピーダ52%。2009年にエルピーダの出資比率引き上げ64%に)での新工場建設の延期などの検討を始めた。生産調整は約2年ぶり。エルピーダメモリでは2011年中に広島工場をスマホ・タブレ向けの専用工場にしてパソコン用は台湾からの調達に切り替える方針。生産委託先としては子会社の端晶電子のほか、日台連合として手を結ぶ力晶半導体、茂徳科技、華邦電子の3社が上がった(5社連合 日台連合あるいはエルピーダ連合といいサムソン電子 ハイニックス半導体を追う3位となる)。その後エルピーダは2012年2月末に経営破たん。
 台湾最大手の南亜科技(ナンヤテクノロジー 親会社は台湾塑膠工業)での人員削減(2012年内実施)、茂徳科技(モーテック)の上場廃止(2012年3月)と大量解雇(2012年内実施)、エルピーダの合弁相手の力晶科技の債務超過(2012年8月末 自社ブランド生産を放棄 ファウンドリーに転換を表明)などが伝わっている。
 台湾の政治 2010年6月 中国と経済協力枠組み協定ECFA 201201 総裁選馬英九再選 電気料金引き上げ 株式売却益課税など不人気政策で国民離反 政敵追い落としのため検事総長から機密情報入手 国民の信頼失う 2013年6月 中国とサービス貿易協定締結(独立派けん制の狙い 対中融和策の成果) → 立法院空転で審議進まず
 2013年7月 ニュージランドとFTA経済連携協定
 2013年11月 シンガポールとFTA経済連携協定
 2013年の台湾GDP 実質前年比2.19%増 低成長 (2012年は1%台半ば)背景:輸出の力不足 主力のIT製品輸出が伸び悩み 20143月 学生による立法院占拠

This blog was written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author. It appeared in Jan.2011. It was revised in Feburuary 4, 2015

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