Entrance for Studies in Finance

Case Study on Renovo and IBM

レノボ(聯想集団) 2005年に米IBMパソコン事業買収 売上の8割がパソコン 売上の4割が中国 2013年現在パソコンの世界最大手パソコン、スマホ、タブレットを合わせたシェアは2013年韓国サムソン電子、米アップルに次いで3 パソコン タブレ スマホを合算すると1位はさまざまな地場メーカーで2位にサムソン 3位にアップルとなりレノボの存在感は薄くなるとも指摘されている 楊元慶CEO(2014年1月)

200412月 レノボが米IBMのパソコン事業を買収  IBMからThinkPadに代表されるパソコン事業を買収

2005年IBMのPC部門 ThinkPad製品ライン買収 から統合戦略(NECとのPCでの合弁 ドイツMedion(パソコン製造)買収 ブラジルCCE(パソコン スマホ製造)買収 米EMCと提携 中国Compalと合弁)IBMはいち早くパソコン事業を売却しITサービスにシフト

 2009年PC世界シェア HP19.7% デル12.6% エイサー12.6% レノボ8.2% 東芝5.2% アスース5.2% アップル4.1% アップル3.7% 参考 NEC0.9%
 2009年PC国内シェア NEC18.3% 富士通17.9% 米デル12.1% 東芝11.2%   
 2009年サーバー世界シェア   IBM32.9% HP29.9% デル12.1% サンマイシステムズ8.8% 富士通5.1%
 2009年ITサービス世界売上  IBM550億ドル HP345億ドル 富士通233億ドル アクセンチュア209億ドル 

2009年 NEC  海外市場から完全撤退 

2010年4月 NEC 赤字の元凶の半導体について子会社のNECエレクトロニクスを同業のレネサンステクノロジと統合
2010年6月 NEC 携帯電話事業をカシオ計算機、日立製作所と統合

20111月 レノボとNECがパソコンで合弁事業で合意
20117月 レノボとNECが日本で合弁会社設立

2011127日発表(NECとレノボの提携) NECを事業統合 生産・保守の効率化 品揃えや営業戦略で現地拠点への権限移譲 NECの量販店での販売網を生かして成長
 中国のレノボグループ(聯想集団 PC出荷量はNECの10倍 中国ではシェア27%)とNEC(NECパーソナルプロダクツ)がパソコン事業で合弁(51%-49%)
 2011年6月にレノボNECホールディングスを設立(傘下にレノボジャパンとNECパーソナルプロダクツ)へ
 2011年7月合弁会社を日本で設立(レノボが51% NECが49%)
 (2012年9月4日 NECがこの合弁で取得したレノボの株2億8000万株の売却(レノボ全株の2.7%)をすることが注目された。
 2年間のロックアップ期間前の売却で異例)売却額2億3000万ドル180億円
 これはNECの保有資産売却による財務基盤強化の一環(同時期にホンハイに対して液晶DPに関する特許の一部を100億円で売却)。ただ合弁を維持して持合いを続けなかったことは注目できる。
 合弁の内容:NECパーソナルプロダクツの雇用維持 NECブランドの継続 NECは経営の主導権はこだわらない 両社は規模の利益を追及
このほかレノボ本体についてNECが2%出資
 まず日本に合弁会社設立 互いの販売網使い相互に連携・拡販を行う。 
 NEC 売上高3兆5800億円のうちパソコンは2500億円程度(2010年3月期 国内ではトップ)総従業員14万2300人 純利益114億円
 レノボ 売上高166億ドル 総従業員数2万人 純利益1億2900万ドル

提携の背景
 パソコン:汎用品commodities化 利益を生まない商品に
 しかし 
 NECは成長路線への転換を決断 提携によりグローバルな競争力を確保
 NEC本体はスマートフォンにシフト
 今後の戦略
 クラウド事業を考慮してパソコン事業を維持
 タブレット端末を共同開発

2012年2月6日 ハンセン指数の構成銘柄に選ばれる
2012年3月期 売上高295億米ドル2兆3000億円 前期比37%増
       純利益4億7200万ドル 73%増
2012年4-6月期 前年同期比 30%の増益 世界シェア15%でHPに迫る
2012年10-12月期 純利益2億487万米ドル190億円 前年同期比34%増 四半期ベースで過去最高

2013年1月 カナダのブラックベリ買収観測流れる
2013年4-6月期 レノボ(売上の8割がパソコン パソコンより採算のいいスマホとタブレットの比重を14%から
2016年には5割程度目指してパソコン依存からの脱却目指す 2012年10-12月期に中国でのスマホ事業が黒字化)は米HPを追撃 

PC販売で世界最大手になったのは2013年4-6月期 レノボ16.7% HP16.4% デル12.2% エイサー8.4% エイスース5.9% アップル5.0% 米IDC調べ。IDCの調査とガートナーの調査のいずれでも世界topになったが、はからずも消費者はタブレット等に移りつつあるとも。世界的には低価格のスマホやタブレットで新興国を攻めている。投入機種の数で年間50機種と群を抜く。新興国では現地メーカーとの価格競争で苦戦する可能性も指摘され、ブランド力をつける必要があるとされる。

2013年10-12月 純利益前年同期比30%増2億6531万ドルで過去最高 パソコン1530万台9%増(世界首位) スマホ1930万台47%増 タブレ340万台4.3倍(各世界5位) パソコンで成功体験をスマホ タブレットで再現ねらう(NECとの携帯電話事業統合交渉は決裂) 新興国に食い込むが現地の低価格メーカー(地場メーカー)との争いで利幅は薄い 
201312月 ハンセン銘柄の構成銘柄への採用決まる

携帯電話 2013年中国市場 サムソン>レノボ>華為>中興

2014123日 米IBMからPCサーバー(低価格サーバーx86サーバー)事業を23億ドルで買収(2400億円 全従業員7500人ごとひきつぐ)へ(交渉は2013年から続いていた。サーバー事業の不振から株主からは売却のプレッシャーがIBMにかけられていた)。RenovoにとりPC+とは異なる新たな領域 世界第3位のサーバープレイヤーに サーバー市場はすでにコモデティ化(DellやHPはサーバー事業でソリューション提案と連動させて収益性を高めている 之に対してx86の3割ハクラウドサービス3社のデータセンター向け)

 今後低価格化進む レノボのサプライチェーンにより低価格のメモリ購入できるなどの規模の経済効果が働き 移管により価格競争力高まる したがって売却ではなく「戦略的提携」であるとされる
 企業向けサーバー事業(IBMのシェアは8.5%世界で3位 レノボの現在ノシェア6%6位は11.1%3位へ上昇 トップはHP 2位はデル)に本格進出 個人向け主体事業から転換
 他方IBMは高採算のクラウドに注力 ハードウェアは高性能機(メーンフレーム大型汎用機)に絞り込むことで収益率を高める戦略

 2013年のPCサーバー市場シェア 世界 HP31.4% デル21.9% IBM(レノボ)12.9% シスコシステムズ5.9% 富士通3.0% 日本ではNEC31.4%  富士通19.2%  HP14.8% IBM(レノボ) デル8.7% 日立8.6%

 他方でフェイスブック、グーグル、アマゾン等大手クラウド事業者はサーバーを自ら設計して受託製造大手(台湾のクワンタなど)に数万台単位で発注しコストを削減している。こうした「無印サーバー」の登場は、サーバー事業の生き残りをさらに困難にしている(台数として全体の15%を占めるにいたっているとのこと)。フェイスブックは開発手法でオープンソース方式を応用、設計図の公開でコスト低減に努めているとのこと。

2014129日 グーグルからモトローラ端末Motorola Mobility事業(現在は赤字)を買収(PC+戦略を加速する狙い 第3位のスマホメーカーに浮上) 29億ドル 合わせて52億ドルは レノボの時価総額の半分に相当 保有現預金は38億ドル (北米・南米に強い)の携帯端末事業の事業買収 1年から1年半で黒字転換する スマホとタブレットを合わせた携帯端末で年1億台の販売目指す(アップルやサムソン電子に追いつけるか)。大型のM&Aの連続(積極策)に市場には警戒感広がる

20144月 組織替えで4事業部制として売上げで5%に過ぎないエンタープライズ事業、クラウド事業の2事業を今後の成長の柱に位置つけた。

2014年第3四半期では売上げ108億ドル前年同期比15%増 税引き後利益は26500万ドル同30%増 PC市場シェアは18.5%前年比2.5ポイント増 ノート型で18.8% デスクトップで18.0%

2014年10月2日 レノボ日本法人 法人向けサービス拡充 サーバーとPCの一体販売(事業の連携で1割程度のコスト削減余地) 懸念はIBMのPCサーバーの売れ行きが事業売却発表以降激減。製品サポート力の低下について顧客が不安を感じたことが原因。

2014年10月7日 NECとの合弁契約(2011年開始2016年6月まで 法人向けで首位を守る 13年度日本国内法人向けでNECーレノボは27.5% 富士通が22.3% 米デルは14.9% HPは14.9%)を2026年まで10年間延長 米沢工場でレノボ製品もつくることで稼働率向上 カスタマイズを中国生産から国内生産切り替えで納期短縮(国内生産している富士通 HPにあわせる  国内は人件費は割高だが生産性は高い 修理も国内で顧客満足度もあがる)

2015-2016 国内外でスマホのシェア低下 中国への新型スマホ投入にこだわり(しかしブランド力が中国で低く) 結果として海外では投入遅れる

レノボ 2017  脱パソコンを狙って拡大した、モバイルのほかデータセンター事業も不振(赤字に落ち込む) 脱パソコンがうまくいってない 

2017年11月2日 富士通(17.5%)とパソコン事業(24.6%)で合弁会社設立を発表(レノボの国内シェアは国内4割へ デル12.3% HP12.2% すでに外資系が圧倒的)

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IBM ハード事業を売却 ソフトウェア システム開発やコンサル(高性能コンピューターは残している)などに転換 また中小のソフト会社を買収して、事業構造の転換を進めた。2000年から2009年の間で220億ドルを投資。108社を買収している。自社の営業基盤に乗せれば収入が急増するような小規模企業に投資するとのこと。ソフト、サービスを重視するのはハードに比べてソフト、サービスは需要が堅調で利益率が高いことに着目した戦略。サービス事業(例 経理業務の委託)は顧客との長期契約によるので収入が安定するとのこと。2009-2010年はこの戦略が奏功。増収増益を続けた。 

2011年3月 IBMは保有していたレノボ株すべてを売却した。2005年にレノボにパソコン事業を12億5000万ドルで売却したときにレノボ株15%を保有。しかし次第に売却。この時点で残り(出資比率で4.3%分 2億6500万ドル)をすべて売却したもの。

2011年11月にはウオーレン・バフェット氏がIBM株大量取得5.5%107億ドルがわかり、そこでもIBMの事業戦略が肯定された形だった。

2012-2013年ハードウェア事業の不振から減収続く 2013年10-12月 売上高277億ドル弱(前年同期比5%減) 純利益62億ドル弱(6%増) ハードウェアの不振 新興国事業の減速 売上高(ハード事業の売上が2割を超す減収:とくに中国で)は7四半期連続で前年実績下回る ロメッテイは経営責任をとり経営幹部が2013年の賞与を辞退すると表明(ロメッテイは2012年12月 米IBM初めての女性CEOとして就任 前任はサミュエル・パルミサーノ) 

2014123日 Renovoに対して低価格サーバーx86サーバー事業を23億ドルで売却と発表

12億ドルかけて2014年内に世界15ケ所にデータセンターを建設する構想を表明(2014年1月) クラウドコンピューテイングで攻勢をかけている(これによりIBMのデータセンターは世界で40ケ所になる) IBMはクラウドに2007年に乗り出した 全世界の顧客は3万社。これまでのビジネスモデルはプライベート(専用型)クラウド。2013年の売上は40億ドル(推定)

IBMの相手は2006年にクラウドを始めたアマゾン。こちらはパブリック(共用型)クラウド。コストが安く使い勝手がよいとされ中小企業を中心に大手にも利用者増える。2013年の売上は30億ドルを超えたとされる(推定)。2013年夏 IBMはパブリッククラウドに強い米ソフトレイヤーテクノロジーを20億ドルで買収 パブリック型サービスの強化を急いでいる

2014年1-3月 ハードの不振 新興国の販売低迷 サーバーなどハード事業で大幅減収

2014年4-6月の売上は243億ドル(前年同期比2.2%減 9四半期連続の減収)  ハードの落ち込みニブレーキ 主力のサービスヤソフトが伸び悩む 純利益は41億ドル弱(同28%増 コスト削減やリストラ効果) バージニア・ロメッテイCEO

2014年7月-9月 売上げ233億ドル(前年同期比4%減 10四半期連続の減収)

2014年10月1日 ニューヨークに人工知能型コンピューター ワトソンの世界本部設置(グーグルでは量子コンピューターを独自開発 人工知能の飛躍的向上につながる同様の人工知能AIの開発と応用は マイクロソフト アマゾン ヤフーなどでも進められている)

20141020 不採算の半導体製造部門を米半導体受託製造会社(半導体製造で台湾のTSMCに次ぎ第二位)グローバルファウンドリーズGFに譲渡。 今後3年間で計15億ドルをIBMがGFに支払うとのこと(GFはIBMの設備技術を獲得して生産効率化を急ぐ GFは今後10年間サーバー用半導体を供給する) 業績変動の激しい部門の切り離し 付加価値の高い事業に経営資源を集中

米マイクロソフトとクラウド分野で提携(2014年10月)

米ツイッターとビッグデータ解析で提携(2014年10月)

2017年5月 長く(約6年間)IBM株を保有してきたバフェット氏が保有株の30%を売却したことが明らかになる

IBM 2012年からロメッテイ体制 クラウド 人工知能AI(ワトソン  これを使った業務改善で収入を得る)などの成長分野への移行を掲げるがうまくいっていない。減益続いている 2017年11月ワトソンの無料提供うちだす(情報を集めることでAIを鍛える狙い→グーグルの情報解析力は大量の情報がベースになっている) アマゾン、グーグル(量子コンピューターに注力)によるクラウドを通じた低価格サービスに押され高性能コンピューター(メインフレーム)売り込めない クラウドでも攻勢 しかしクラウドを強化すると従来業務を共喰い(カニ張りゼーション)する側面 ITを軸にした顧客のコンサルを強化

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日本IBM 1970年代から80年代 IBMの大型汎用機は技術的に圧倒的に優位。日本ノメーカーはIBM大型汎用機向けソフトが使える互換機を開発していた 1983年にIBMと日立富士通は秘密協定で和解。やがて日立はIBMと密接な関係に。他方、コンピューター専業の富士通(大型汎用機Mシリーズを生産)は強気の姿勢続ける。85年 IBMと富士通はAAA(米仲裁協会)に紛争を持ち込み 88年10月 AAAが最終裁定(和解金額3億3700万ドル)。2001年の1兆6268億円をpeakに売上高減少 2011年には8681億円に。日本の売上は全体の1割。売上高利益率で米IBMは15%。日本IBMは3% ThinkPadの開発は藤沢研究所の成果(1991年に原型を開発 丸山力氏)

1977年アップルⅡ発売 ヒット 1979 NECがPC-8001(MS-BASIC採用) 1981年IBMがパソコン参入(MS-DOS採用) NECはいちはやくBasicを採用。NECの9800シリーズは80年代後半に国内で5割強のシェア 90年代IBM互換機

2011年7月報道 セールスフォースドットコムと組んでクラウド型サービスをはじめる(営業支援や顧客管理のシステムをクラウド型に移行する)と発表

2012年5月 日本IBM 56年ぶりの外国人社長マーティン・イェッター氏就任

2014年8月報道 日本IBMではクラウドサービスとしてはサーバーやストレージをネットを通じて貸し出すサービスを手がけていた(サーバーの販売を優先)。2013年内にも顧客情報管理サービスに参入する方針(報道 先行しているのはセールスフォースドットコム)。

2014年10月報道 日本IBMでは2014年内にも金融機関向けクラウドサービスを始める(例 顧客個人の取引内容に応じたお勧め情報送信など営業支援 小売業にも応用可能 先行はセールスフォースドット込むやアマゾン)

日本IBM 2014年内に東京にクラウドセンターを設置すると発表(2014年11月10日)

2017-12-17更新( 2014-11-10)

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