Entrance for Studies in Finance

米国のプルトニウム削減要求と日本の原発政策

2018年7月 日米原子力協定(1988年~)の自動延長 米国は核兵器に転用可能なプルトニウム削減(現在 日本は原子爆弾約6000発に相当する約47トンを国内外に保有.2017年末で47.3トン 16年末にくらべ0.4トン増加)を要求 → 日本はプルトニウムを再処理して原発の燃料として使う核燃料サイクル(プルサーマル計画)を描いたが実現していない(2011年すべての原発が稼働停止。その後再稼動が進まない。2兆円以上を投じた青森県六ケ所村の再処理工場の稼動のめどがたたない 原発の再稼動は2018年7月現在9基)。

プルトニウムを使用してさらに燃料を生み出せるとされた高速増殖炉もんじゅは1985年に着工。成果もないまま事故(1995年12月漏洩事故ほか)を多発。2016年12月に廃炉が決定。1971-2016年の支出額は人件費を除いて1兆1313億円とされる。日本原子力研究開発機構を所管する文部科学省によると、廃炉には30年の時間、3750億円以上の経費が見込まれている(会計検査院の報告書公表は2018年5月)。福島第一原発の場合2013年の廃炉経費試算は2兆円しかし2016年の試算は8兆円に膨張した(溶融燃料を冷やすための汚染水が増え続けている その量は日量で500tとされすでに100万トンがタンク600基に蓄えられている これを凍土壁などで減量しているとされ海水汚染も防いでいることになっている)。(別)の資料では日量の増加は100t前後。汚染水はアルプス=多核種除去装置で浄化処理後にタンクに保管されている。タンクは現在9000基近くあるが、あと2年ほどでタンクを設置する敷地がなくなるとある。経済産業省では規制基準以下に薄めたうえで海に放水することを検討。これに対して漁業関係者は強く反対している。こうした汚染水の垂れ流しは通常の原発でも行われているとのこと。またそのことが海に放出する論拠になっている)

日本原子力研究開発機構が保有する東海再処理施設(1981年運転開始)は2014年に廃止が決定。2018年6月には廃止計画が原子力規制委員会に承認された。70年かけて1兆円近い経費を見込んでいる。

2018年6月に九州電力玄海4号機の再稼動で再稼動は9基に。(原子力規制委員会の新規性基準下での再稼動は5原発9基目 九電では2015年に川内1・2号機が再稼働。2018年3月に玄海3号機 2018年6月に玄海4号機再稼動で4基体制 再稼動は四国電力伊方3号機と九州電力が計4基 関西電力が大飯3・4号機 高浜3・4号機の4基。ただし伊方3号機は2017年12月広島高裁で運転差し止め仮決定。伊方は16年3月に再稼動したものの定期検査入りのあと運転停止仮処分。なお伊方1号機は廃炉。2号機も2018年3月に廃炉決定。他方 東京電力・中部電力は稼動しているものはなく、再稼動した原発でウラン・プルトニウム混合酸化物Moxとして消費する見通しが立たない)。

廃炉を決定済みあるいは検討中の原発は全国で22基。原則40年の寿命・安全基準への対応困難など。廃炉には20年以上の時間がかかり大量の放射性廃棄物の処分方法も決まらない(日本原子力発電が抱える東海第2原発はすでに2018年11月で稼働40年。日本原子力発電は保有の原発が2基とも稼働停止で資金力がなく、再稼動・廃炉ともめどが立たない。)。稼動には新しい規制基準に対応する投資・地元自治体の同意などのハードルがある。

原子力発電のマイナス面(安全対策費用が膨大であること 廃棄物処理サイクルが未完成であること 廃棄コストが不明であることなど)を過小評価し、肯定面だけ強調を続けた国・電力業界・科学技術研究者、その方棒を担ったマスコミ関係者の無責任は大きい。

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