Entrance for Studies in Finance

オーバースペック 品質データ改ざん問題 2017-2018年

オーバースペック(和製英語) overengineer

日産自動車 国交省により業務改善指示処分 西川社長は報酬返上 国内ほとんどの完成車工場で不正
2017年9月18日 国土交通省の湘南工場立ち入り調査で無資格検査が発覚(工場存続のためコストを削る中 検査員が不足 不正検査へ 経営陣は現場の苦悩を無視 19日改善策を国交省に報告 26日から29日 国交省による追浜 福岡2工場立ち入り調査でも同様の問題が発覚 29日国交省 日産に業務改善を指示 11月対策を公表 12月国交省が日産本社に立ち入り調査 18年3月 国交省日産に業務改善指示などの処分

神戸製鋼所 川崎会長兼社長など幹部が引責辞任
アルミ・銅部門で長年にわり品質データを改ざんして出荷 事業部門の独立意識の強さが要因の一つ 経営陣と現場の断絶も指摘される 現場は社内調査にも非協力貫き不正の事実を申告せず
東京地検と警視庁が合同で虚偽表示の疑いなどで捜査(2018年4月)

日本ガイシ
2018年5月23日 社内調査の結果。不正があったと発表。1990年代から顧客の求める検査を契約で決められた手順で実施していなかった(7月をめどに調査委員会が報告書を作成するとのこと)。

スバル 社長退任へ会長に 無資格検査 燃費データの書き換え
6月5日 完成車検査で新たな900台を超す(6530台中927台で)不正見つかる(2017年10月に無資格者が検査していた問題が発覚)。規定(条件・範囲)を超えたデータを有効としていた(不正はこの企業の体質担ているとの指摘あり)。測定データを書き換えたものもあった。吉永社長兼CEOは6月に株主総会で会長となり、代表とCEOを外す。

宇部興産 経営幹部6人の6月の報酬を減額へ
6月7日 品質不正で調査報告書公表 社長ら経営幹部 2018年6月の月額報酬を減額へ。一部製品で顧客と取り決めた品質検査を行わず出荷。試験結果を入力しなくても規格を満たす数値がランダムに表示される管理システムを長年採用していた。

三菱マテリアル 竹内社長の辞任へ グループ5社のほか本社工場でも不正
2018年6月8日 三菱マテリアル 直島精錬所 JIS工業規格取り消し(規格外を規格内と記載 2回やるべき製品試験1回のみ)2017年11月子会社3社で品質不正発覚 2018年2月子会社2社で新たな不正発覚 2018年3月決算発表で新たな不正データ公表 竹内社長続投を表明
2018年6月11日 三菱マテリアル(1990年に三菱金属と三菱鉱業セメントが合併し、多くの事業を抱えカンパニー制を取り事業の独立性から組織が縦割り化) 品質改ざんなどの不正が相次ぎ竹内章社長(人事法務畑出身 現場を知らないとの指摘)が辞任。

品質問題の根としてのオーバースペック 契約上の試験回数 顧客が要求する品質などが、納入業者からみて過度である。品質・安全性は保たれているとして契約より下回ったものを出荷納品する。日本では製品の欠陥=リコールを嫌い、高い品質を要求する傾向がある。過剰品質の要求は高コストにつながる。一般に顧客の合意があれば、契約上の品質基準を下回っても問題ない(特別採用)。顧客の合意なしに出荷したことが問題視されている。

同時に品質不正で問題にされていることは単純な不正であるのに、オーバースペックを持ち出すことには違和感がある。オーバースペックは、あたかも規制(基準)あるいは顧客の要求が過剰でそれを撤廃すればよいと言いかねない議論であるようにも思える。顧客との契約については、契約の順守は当然で、契約の文言が過剰なら契約交渉のところで議論すべきだ。契約や基準を会社のなかで、自分の都合のよいように解釈することは行き過ぎで、法令順守(コンプライアンス)からかけ離れているのではないか?
経済経営用語辞典(オーバースペック で採録)

Strategies  Case Studies   Area Studies

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