Entrance for Studies in Finance

GMが新規株式公開申請(2010年8月18日)

2010年8月18日SECに新規株式公開申請、年内の再上場視野
再生GMが2010年8月18日SECに対して新規株式公開IPOを申請した。これは年内の再上場を意味するもので、昨2009年4月に連邦破産法11条の適用申請して以来1年3ケ月あまりのでスピード再生を意味する。
 GMは、新興国での自動車需要の伸びに対応して、現地メーカーと小型車で価格競争にいどむ積極的な戦略をとっている(そのために現地いメーカーとの提携もすすめている。合弁で上海GMを1997年に設立している上海汽車との間で小型車用エンジンの共同開発を2010年8月18日に発表している。)。反面、米国内では利幅の高い大型車にシフト。小型化・低燃費化で問題残しており、競争力を十分高めたとはいえない。
 現在、米とカナダの両政府は72.5%のGM株を保有(アメリカは61%)。注入した金額は610億ドル(アメリカは約500億ドル)。新会社が承継した年金債務では270億ドルの積立不足(2009年末現在)の状態にある。
 今回のIPOの規模は普通株で約160億ドル優先株をあわせて約200億ドル。米国のIPOとしては過去最大級。今回の新規株式公開は、米政府などが保有するGM株普通株の一部を売却。政府の救済資金の一部が回収される。GMでは優先株のみ発行する。
 8月12日GMは2010年4―6月期決算が黒字となり2期連続黒字決算を達成したことと、CEOが9月1日付けでウイテッカー氏からダニエル・アカーソン氏に交代することを発表している。 法的整理を経て負債規模が3分の1になり、利払い費、人件費などが減った効果があらわれ、値引き額を抑えることにもつながり、GMの財務体質は改善された。(債権者との間では債務の9割カットを実現。債権者には再建後のGM株の10%供与を提案。その後、債権者の猛反発から15%ののワラントをさらに付与することで債権者との交渉は妥結している)。

GMが再上場を申請 2010年8月19日
年内に上場か 2010年8月19日

2010年4月22日公的融資前倒し返済
2009年4月に連邦破産法11条の適用申請、2009年6月に法的整理を受けたGMは米政府から約500億ドル。カナダ政府から約95億ドルの公的支援を受けた。2010年4月22日までにそのうち融資分約80億ドルを両政府に前倒し返済した(予定では2010年6月までに融資分を返済 融資の内訳は米政府に67億ドル カナダ政府に14億ドル 四半期ごとに分割分返済を進めてきた)。これは公的支援の1割強に過ぎない出資分が含まれていないとの批判がある。残りは出資分(米政府出資比率は約60%。カナダ政府が約12%)となっており、GMは国有化状態にある。
 2009年7-12月は43億ドルの赤字であるものの、2010年1-3月は1億4000万ドルの黒字を確保。工場の閉鎖などを進めたが、米国の販売が好転(米政府による部品会社への資金繰り支援最大50億ドル 新車買い替え支援2009年8月末まで30億ドル。しかし2009年8月以降は新車販売が次第に回復した)。中国事業も好調。
トヨタ、スズキとの合弁を解消(合弁では経営の自由度がないことが障害になった模様 トヨタとの合弁工場は閉鎖 スズキは合弁のカナダ事業の出資株を売却)。ブランドの整理では、オペルの売却を中断するなど戦略がふらつく面もでている。2009年の再建計画で小型車生産で新興国シフトを明確にできず、2010年にディーラーの閉鎖を断念するなど予定通りに進んでいない面もある。

originally appeared in May 4, 2010
corrected and reposted in September 21, 2010

GMがオペルのマグナへの売却撤回(2009年11月3日)の波紋
日産、クライスラーが相互供給OEMを解消(2009年8月26日)
GMの再生は可能か(2009年7月10日 新生GMスタート)
GMなどが公的融資を要請(2008年12月4日)
クライスラーとGMの合併協議(2008年8-9月)

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