Entrance for Studies in Finance

中国の株式市場 注目される市場対策

上海総合指数が2014年後半から急騰。2015年6月12日に5166の高値をつけたあと崩落した。暴騰の背景には上海香港の相互取引開始と度重なる金融緩和措置がある。

暴騰の背景として 2014年11月にとられた上海香港相互取引のスタート、そして金融緩和措置に注目したい。

2014年11月17日 上海香港の相互取引がスタートした。1日あたり買い越し上限額。上海株が130億元。香港株が105億元。それぞれの取引所経由で海外の投資家、中国の投資家が自由に売買できるようにした。これが上海取引所の1%程度に達した。(2014年4月10日発表 中国本土:機関投資家と50万元以上の資産を金融口座に保有する個人ふから香港 海外の地元から上海 を互いにとりつぐ 当面 上海総合指数やハンセン指数をつくる銘柄 両取引所の重複銘柄が対象。日本からも香港経由が可能に) 国際的な投資家資金流入期待。

そして続いて2014年11月21日に人民銀行が2年4ケ月ぶりの利下げを決定している。2014年11月21日人民銀行 2年4ケ月ぶりの利下げを決定。金融緩和措置の背景には不動産市場の問題など、景気浮揚という側面があったが、株式市場にとっては投機資金が増えるということであった。 
2014年は中国の株価は54%上昇。信用取引が拡大した(2014年末の残高1兆元超え)。

他方で2014年12月11日中央経済工作会議終了 高速経済から中高速経済への転換を宣言 7.5%前後という目標の引き下げ決める。このように中国経済を落ち着かせようという中国の中央政府の方針と、株式市場の熱狂とはチグハグな面が感じられるようになった。2015年1月16日 信用取引業務で問題があったとして3社に対して3ケ月の新規信用取引口座開設停止処分.これは加熱を抑える措置とみられる。

1月の消費者物価指数の伸び前年同月比0.8% 5年2ケ月ぶりに1%割れ 卸売物価指数35ケ月連続で前年水準下回るなど中国景気減速観測高まる 

ここで追加緩和措置がとられる。2月4日 預金準備率引き下げ(2月5日実施引き下げは2012年㋄以来2年9ケ月ぶり 0.5%下げて大手金融機関の預金準備率は19.5%に)。さらに2月28日 中国人民銀行は追加利下げ。貸出金利 5.60から5.35%へ 預金金利2.75%から2.5%へ(強い景気刺激策をとらない方針とみられることから金融緩和策が予測されている 全人代の政策の空白に先立ち指導部の姿勢を示すために実施)3月1日 金利0.25%下げ実施。背景には3月の全人代を控えて、景気・株価のテコ入れが必要とされた側面がある。金融緩和措置は、株式市場というよりは国内景気の浮揚を狙った措置であったが、市場とすれば、株価の押し上げをまさに政府が肯定している状況といえた。

2015年3月15日に開幕した全国人民代表大会で2015年の経済成長率目標を3年ぶりに0.5%引き下げ7%前後にするとした(過去の成長目標 2005-2011年は8% 2012-2014年は7.5%.2014年実績は7.4% IMFの1月20日発表の2015年予想は6.8% 7%・・・11年ぶりの低い目標値 過度に高い目標は無駄や非効率を招く 購買力平価でみた中国の世界経済に占めるシェアは2014年16% 米国を上回った ドルでは2014年に米国の6割 日本の2倍以上 のGDP63兆元=1200兆円) 消費者物価指数も0.5%低い3%前後が目標値に。通貨供給量の目標を2014年より1ポイント低い12%以内。財政赤字は2014年比2700億円増の1兆6200億元。都市部で年1000万以上の新規雇用。金利の自由化、人民元の変動の柔軟性、人民元の資本勘定における交換性を徐々に実現、人民元の国際化を進める。中国製造2025とする新10ケ年計画 高度な製造業に転換 高付加価値型産業への移行 新興産業向け基金中小企業向け私募市場などを整備。高齢化 環境問題の制約 経済の質効率を高め 持続可能な成長を保つ 雇用を確保する インフレの加速は回避する。

上海総合指数は3月17日に節目の3500を突破。3月末 信用取引残高は1兆5000元を超えた。香港上海で重複上場の株が上海で3割高い
4月8日 相互取引制度を利用した本土から香港への株式投資額がはじめて1日の限度額105億元に達した。一時4000の大台に乗せる。
昨年末に比べた上昇率は23%.売買代金は8391億元(16兆3600億円)で過去最高、同日の東証の6倍強。

ここでさらに金融緩和措置がとられる。4月20日 預金準備率1%下げ。金利1%下げ。これまでより低い経済成長の目標に対して金融緩和の継続はチグハグであるが、おそらく当局者の手元には、住宅投資の減速など危機的な数値が集まっていたのではないか。そして株価が高騰を続ける。が6月中旬に変調を迎える。契機はヨーロッパ情勢、ギリシャの変調であった。そのあとは株価暴落対策に中国政府は追われることになる。対策は㋆までにとられた株式市場に関するものと、8月にとられた人民元相場引き下げとに分けられる。

中国の株価暴落で中国の変調が国際経済に与えるマイナスの影響も明確になった(国際的な資源安は日本にとり国内物価が安定するプラスの側面もある)。中国証券市場の安定問題に世界の関心が集まる所以である。

4月 1-3月のGDP 前年同月比7.0% 前期ヨリ0.3ポイント減少 6年ぶりの低い伸び

4月下旬 人民銀 預金準備率の1%下げ 預金金利の上限 基準金利の1.3倍から1.5倍にひきげた(3月に1.2倍から1.3倍に引き上げ)

4月27日4500超え 7年2ケ月ぶりの高値 平均PERは23倍 東証の18倍を上回る

1-4月の売買代金6兆5900億ドルはNY5兆6900億ドルを抜いて世界最大に 個人資金が大量に流入

5月1日 預金保険制度を創設 預金者1一人当たり50万元・・・先進国並み 政策的低金利のため 中国では大口預金者は少ないとのこと 2014年末の中国の銀行の不良債権比率は平均で1.25%

5月10日昨年以降3度めの利下げ決定 昨秋以降3度目 預金金利上限を基準金利の1.3倍から1.5倍に拡大

5月28日 1日あたり売買高1兆2500億元

5月29日 4611

6月2日 企業個人向けのCD解禁(2013年12月金融機関向けに5000万元以上のCD認めた) 今回個人向けは30万元 企業向けは1000万元以上 期間は1毛月から5年までの9種類
6月12日 5166 7年5ケ月ぶりの高値 
6月中旬以降5000を超えていた株価指数が3000台前半に急落。以降、海外投資家の売り越しが目立つようになる。ギリシャ国民投票で財政緊縮案が否決された7月6日には過去最高の135億元の海外投資家の売り越し。(前回の急落は2007年10月16日に6092を付けた後、2007年2月27日。その後2008年8月北京五輪。2008年9月リーマンショック、2008年11月4兆元の景気刺激策)  6月半ば 中国株急落始まる
6月24日 銀行の融資規制緩和(融資残高を預金残高の75%までに抑える規制の撤廃)や保険会社の資金による3000億元(6兆円)のインフラ基金設置を決定
6月27日 人民銀行が追加利下げを決定(一部委の銀行を対象に預金準備率引き下げ) 貸出金利 預金金利ともに0.25%下げる 1年貸出が5.10%から4.85% 1年預金が2.25%から2.00%へあわせて預金準備率0.5pポイント下げる決定(6月28日実施 金利引き下げは㋄以来 昨年11月以降4回目 預金準備率引き下げは2月 4月に実施済)金利引き下げは昨秋から4度目
7月4日 証券21社が1200億元買入れ・上場予定28社が見送り
7月5日 中国政府系持ち株会社が投信買入れ・中国証券金融が株式買入れへ PKO price keeping operation⇒ 資金量は2⇒4兆円とみられている
7月8日 保険会社の株式投資上限引き上げ・中国政府 国有企業に自社株買い要請  3507まで下がる このあと反発弱い
7月9日 公安省 悪意ある空売り取り締まり

7月15日 実質GDP4-6月前年同月比7.0% 1-3月なみ 減速に歯止め 事前予想6.9%より高かった そのため金融緩和期待が後退
7月20日 政府が株価対策で投じた資金の回収を検討しているとの報道
7月23日 4123まで上昇
7月24日 国務院が貿易促進のため人民元の変動幅拡大を発表 終値4070 証券21社の買い入れ 4500に戻るまで実施が確認される 
7月27日3725(終値)ぶ急落 背景 ロイターによる 中国証券金融の買い入れ原資である銀行借入金一部返済報道 買入れ停止の思惑広がる 27日夜証券監督当局 中国証券金融の買い入れ継続 株価対策縮小の見方を否定 28日午前終値3688 終値3663 前週末に比べ8.5%安 8年5ケ月ぶりの下落率
7月31日 証券監督管理委員会 米ヘッジファンド シタデルインベストメントGの子会社含む24社個人の証券口座を通じた売買を3ケ月停止する プログラム売買 短期売買
7月31日 浙江省温州市龍湾区人民検察院 保証金に対して100倍の売買ができる違法な先物取引を提供していたとして7人を逮捕
8月11日 人民銀行 人民元相場を2%近く引き下げ 市場では6.253元で始まる 一時6.2260元は2012年9月以来3年ぶりの安値 輸出企業支援か
8月12日 人民銀行 人民元相場を1.6%引き下げ 基準相場 1ドル6.3306元 上下2%の変動許容 市場では6.4300元で始まる 4年ぶりの元安水準(ベトナムでもドン安誘導) 行き過ぎ是正のため元買い介入 12日終値6.3870
8月13日 人民銀行 基準値を前日比で1.1%下げ 6.4010元 3日で累計4.5% 異例の記者会見で基準値と実勢のかい離是正派終わったとした 市場は6.3880で始まる
8月14日 基準値は前日比0.05%高の 6.3975

8月20日 1-6月の粗鋼生産量は4億1000万トンで 前年同月比1.3%減 7月の乗用車生産台数は前年同月比26.3%減 6月11%減より拡大

8月21日 一時3500割れ 終値3507 前日比4.27%下落

8月23日 年金基金に株式投資を認める政策を発表

8月24日 総合指数で前日比8.5%減の大幅安 上場2800社中 値上がりは15銘柄のみ 東京市場でも一時900円超す下げ 円は一時6円近く上昇(7ケ月ぶりの高値116円台)

8月25日 金利0.25%下げと預金準備率0.5%下げの同時引き下げ 景気減速に歯止め 国内流動性の確保 人民元切り下げで海外への資金流出の恐れに対処 1年以上の定期預金について預金金利の上限規制(基準金利の1.5倍)を撤廃 人民銀は元安防止のため市場に断続的に介入 利下げは26日から預金準備率は9月6日から実施 大手で18% 期間1年で貸出金利は4.6%  預金金利は1.75%に。(しかし日本では日経平均が1万8000円割れ 上海も8%安と下げ泊まらず3000割れ)

8月26日 上海株5日続落しかし 追加緩和受けて小幅安で収まる

中国の株式市場失速は、すでに不動産市場が下落していたことに重なったことが注目点。株式の場合は、不動産市場が後退するなか、資金を受ける場所としても機能した。シーソー相場になっている。裁定取引の面があるとの指摘もある。

8月の上海の売買代金は前月比35%減少 半年ぶりにNY市場を下回った(背景 中国政府による売買規制強化、悪意のある空売り等の取り締まりアルゴリズム取引への規制 上場企業が自ら売買停止を申請できる制度がある。今後は株価指数が前日終値に比べ7%動いたときにすべての株式と先物の売買を終日停止するサーキットブレーカー制度を導入する)

9月2日 信用取引残高9584億元 8ケ月ぶりに1兆元割れ

9月8日 3170

9月13日発表(国家統計局)。固定資産投資1-8月前年同月比10.9%増。1-7月の11.2%増から鈍化。不動産投資の鈍化を反映。

10月19日発表(国家統計局)。2015年7-9月期のGDPは実質で前年同期比6.9%。6年半ぶりに7%割れとなった(なお前期比では1.8%の横ばい)。9月の輸入が前年同月比で2割減少。卸売物価前年同月比5.9%下落ノデフレ状況。9月の自動車生産台数は前年同月比で21%減(国内新車販売の不振が影響)。他方個人消費は9月前年同月比10.9%増。(統計の実態とのかい離が話題に。実態はGDPの伸び率は5%前後とされる) 輸出入統計(生産の減少⇒輸入の減少 9月のドル建て輸入額は前年同月比20.4%減 1ー9月累計では15.3%減。国際商品価格の下落にもつながる 世界のエネルギ―消費の4分の1 石油の消費量減速 12年4.9% 13年4.3% 14年3.3% 伸び率の低下) 電力消費量(7月 前年同月比1.3%減と4ケ月ぶりニマイナス 工場製造業を反映) 鉄道貨物量 銀行融資量などが実態を示すとの意見((李克強指数)。鉄道貨物量については高速道路での輸送(8割が石炭と鉄鋼 不動産開発や工業生産を反映 鉄道の比重は1割 道路依存率は7割)を指摘する意見もある。

効率の悪い固定資産投資でGDPが膨らむ仕掛けになっている。その多くが経済成長に寄与しない。不良債権になる。銀行、ノンバンク、地方政府。銀行での短期債券売却。

 10月23日発表(国家統計局)。不動産市況は2014年7月から2015年2月が底。その後前月比で新築物価価格は上昇をはじめ2015年9月には調査対象70都市のうち前月上昇は39都市となり、2014年4月以来1年5ケ月ぶりに調査対象70都市の中で過半が値上がりとなった。価格が持ち直したのは大都市。地方都市では依然回復は弱く、在庫が新規投資の重荷になっている。このことはGDPの伸びにも影響しているとみられる。
10月23日 信用取引残高が1ケ月半ぶりに1兆元(19兆円)回復

10月23日 人民銀行 銀行に対する預金金利上限規制を廃止 銀行金利を自由化(すでに貸出金利の下限規制を2013年7月に撤廃) 基準金利制度は残す 24日以降預金金利は自由化

10月23日 人民銀行 追加の金融緩和措置決定 貸出と預金の基準金利を0.25%引き下げ(1年物で貸出4.35% 定期預金は1.5%)に 同時に預金準備率を0.5%下げる(大手金融機関で17.5%) 引き下げは昨年2014年11月以降6回目  背景 9月の卸売物価指数 前年同月比5.9%下落 強いデフレ圧力

10月27日 終値3434 約2ケ月ぶりの高値 株式需給の好転と次期5ケ年計画への期待 追加金融緩和措置も奏功

10月29日 中央委員会第5回全体会議閉幕 次期5ケ年(2016-2020)計画(13次)採択(一人っ子政策の廃止含む 技術革新による成長 一帯一路構想など) 12次(2011-15 想定7%  実際は8%弱) 11次(2006-1010 想定7.5% 実際は11%) 2008年の4兆元規模の大型景気対策が非効率な国有企業の安易な設備投資拡大(鉄鋼は8億トンの生産―能力は11億トン 自動車は2500万台の販売―能力は5000万台 稼働率の極端な低下) 資産バブルにつながった反省 財政出動―投資主導から消費主導に転換を目指している

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