新常務委員7人(中国共産党中央委員会政治局常務委員会7人)が決まった(2017年10月 年齢順)。
栗戦書(67) 2012年7月より中央弁公所主任(常務委員会の議題、常務委員の日程調整役 常務委員会は中南海で週1回程度のペースで開催 政治教員の会議は月1回程度) 1950年8月生まれ 河南師範大学の夜間で学んだあと共産党中央党校 社会科学院社会人コースなどで学ぶ。2007年1月黒竜江省省長 2010年8月貴州省省長 2012年7月より現職
習近平(64) 1953年6月北京生まれ 総書記(国家主席 党中央軍事委員会主席) 留任
韓正(63) 2012年上海市党委書記 習近平が陳良宇(汚職により2008年懲役18年判決 陳は江沢民派とされる。2010年に上海万博誘致に成功した功績があるが汚職をしたということで失権した。その後任となったのが習近平である。)のあとの上海市党書記のとき上海市長 1954年4月生まれ 労働者として働き党務もこなしながら復旦大学専班卒業 その後 華東師範大学でも社会人として学ぶ
李克強(62) 1955年7月生れ 首相 留任 河南 遼寧のトップを経験
王沪寧(62) 2002年10月から中央政策研究室主任 1955年10月生まれ 華東師範大学卒業後 上海社会科学院を経て復旦大学
汪洋(62) 2013年3月から副首相 元広東省党書記(2007年12月 2009年後任は薄熙来だった 薄熙来は汚職により2013年に無期懲役判決を受け失権) 1955年3月安徽省生れ 共産党中央党校卒業 経済通とされ経済政策での役割が注目される
趙楽際(60) 中央組織部長(2012年11月より) → 中央規律検査委員会書記 1957年10月青海省西寧市生まれ 工農学生の最後として北京大学哲学系で学ぶ その後社会科学院 共産党党校でも学ぶ 2000年42歳のとき全国最年少で青海省省長に就任
新常務委員7人(中国共産党中央委員会政治局常務委員会)が決まった(2012年11月 従来の9人から2人減員)。
第18回全国代表大会(2012年11月)で決定。定年は68才とされる。11月の党大会では経済規模・所得倍増計画を打ち出された。
中国経済は2010年ころ農村の余剰労働力が底をつく「ルイスの転換点」を通過 賃金の急上昇が始まった。このことにより高成長は終わったと表現される。
胡錦濤(2002.11-2012.11)ー温家宝 のもとで「国進民退」が進んだのは、胡錦濤時代のマイナス面と考えられる。
このほかの課題としては、農村労働者(出稼ぎ労働者)への差別的扱い(戸籍制度)が農村労働者の都市定住を妨げていること。
内政:低成長への移行という環境のもとで 政治腐敗に立ち向かえるか 所得再配分を実現できるかという点。
既得権益層は、国有企業に天下りして個人資産を拡張させ、さらに個人財産を海外に移し子弟を海外に留学させている。
中央政府は、既得権益層の支持と大多数の国民の あきらめのもとに政権を維持してきた。しかし今後、
異議申し立ての空間が加速度的に拡大する。人々の不満をうまく吸収するシステム(政治改革)が必要になっている。
今後の統治の安定化のためには、既得権益層を抑制する必要がある。そのため民主化や既得権益層の自己財産公開。体制に批判的な人々の支持を得る政策目標の打ち出しなどが必要との指摘がある。逆に言えば、民主化措置がとられなければ、既得権益層への批判から、社会が不安定化するリスクは高い。
選ばれた新常務委員は以下の7人。対中国外交では中国の中国政府のトップにある政治局員 常務委員(さらに将来の政治局員)とのパイプ作りが必要とされる。
習近平(59) 1953年6月北京生まれ 2007年にすでに常務委員 精華大学化学工業学部 夫人は軍専属の歌手の彭麗媛 娘は米国ハーバード大学留 学中 2008年に国家副主席 ⇒ 共産党総書記 党軍事委員会主席
李克強(57) 1955年7月生れ 安徽省 2008年副首相 北京大法律学部と経済学院(博士) 夫人は大学教授の程虹は北京経済貿易大学外国学部教授 娘は米国留学中 3月の全国人民代表大会で温家宝首相の後を継ぐ。2013年3月の全国人民代表大会で首相就任予定。
張徳江(67) 1946年11月遼寧省台安県生まれ 工業担当副首相 重慶市党委書記 機械工業閥とも 江沢民派
兪正声(67) 1945年4月生れ 上海市党委書記 機械工業閥
劉雲山(65) 1947年7月山西省 党宣伝部長
王岐山(64) 1948年7月山西省 西北大学と社会科学院近代歴史研究所で歴史を専攻 副首相 太子党 実務派 人民銀行副総裁を1990年代前半(1993年)に経験(当時の副首相は朱鎔基で人民銀総裁を当時の人民銀総裁を更迭 自ら総裁を兼務した そのとき副総裁に王岐山を抜擢 朱鎔基は1998年に首相に昇進した。)
江沢民(1989.6-2002.11)ー朱鎔基(1998に首相) には国有企業のリストラを推進し「国退民進」を進めたプラスの側面もあった。
張高麗(66) 1946年11月福建省 アモイ大学経済学部統計専攻 シノペックを経て政治へ 李嘉誠と盟友 娘は企業家に嫁ぐ 2007年天津市委党書記 江沢民派 石油閥系
老幹部の江沢民(85)(もともとは自動車技術者)は機械工業閥 石油閥にまたがる派閥人事の頂点に立つ。
失脚した薄熙来(62)は江沢民派で石油閥の周永康(69)が懇意だったとされる。石油閥の大ボスとされるのが
曽慶紅(72):江沢民(3つの代表 重要思想を2001年に提起 私営企業経営者を含む社会階層との団結を主張)の側近とされる。機械工業閥で同様の立場にあるのが呉邦国(70)。
これに対して共青団に地盤がある胡錦濤(格差是正を優先する和諧社会路線打ち出す)派は党内改革派とみられるがその
汪洋・広東省党書記 1950年11月生れ 李源潮・党中央組織部長 1955年3月生れ は今回は常務委員に入らず(昇格せず 政治局員には入る)。政治局員は常務委員7人を含む25人。
新常務委員が直面する中国経済の課題
7%以上の成長を目指すこと。「保8」で2020年に「小康社会」実現を目指すこと(2012年の成長目標は7.5%だった 中国の潜在成長率は7.5-8%あたりとされている)。
一人当たりGDP2002年1000ドル 2011年5000ドル超(台湾の1987年当時 韓国の1989年当時の水準)所得が一定水準になると人々は権利に敏感になる 不満も吹き出しやすい 2010年で5400ドル 日米のおよそ9分の1
3倍以上とされる都市農村間格差解消すること。
所得格差 富裕層の所得を把握できない 相続税もない 幹部の腐敗
製造業の生産能力過剰問題、高齢化による労働年齢人口減少問題に取り組むこと。生産年齢人口がその他の年齢層を上回る人口ボーナスが終焉を迎えている。労働賃金が上昇を始めている。給与水準は改善。一人っ子政策 2015年から生産年齢人口が減少に転ずる
生産性の改善 経済の効率改善が安定成長の維持には不可欠
国有企業の肥大化 民間企業を買収 肥大化進む
人民元の資本取引自由化問題、政府部門の効率化に取り組むこと。
対外的には為替介入でドル資産(米国債)を膨らませ1兆ドルを超える米国債を保有。米政府の最大の債権者となった。そのため米国債の値下がりは困る、矛盾した立場に陥っている。
中国型国家資本主義モデルの限界ともされるさまざまな矛盾の表面化
人民元政策:為替操作国認定を避ける(2005年7月 対ドル固定から動かし始める 市場介入を減らし 人民元対ドル相場上昇を一定容認 元高政策には物価抑制策の側面 2012年 中国経済減速とともに元安への転換の観測も)人民銀行はインフレ懸念から人民元上昇を容認する立場、他方で共産党中央は、失業の増大と社会不安につながる人民元上昇をためらう立場とされる。
米欧が輸出依存型の成長を弱めることを要求。しかし消費主導の成長モデルへの転換は容易ではない。
社会資本は過剰投資に陥っている。
中国企業の債務残高は国内総生産の120%に達する。
生産の増加が在庫の積み上げになることがある。期待先行の生産でないか、在庫調整は進んでいるかをチェック。
鉄鋼業では9億トンの生産能力のうち2億トンが過剰。セメント 風力発電 多くの企業が過剰生産能力に直面して(生産能力の過剰問題 増産に走ると生産には走り在庫が増える しかしこれが需要に見合っていないと在庫が積みあがる:形式的に成長率は上昇するが)、債務削減に動こうとしている。
鉄道網の整備 高速鉄道の整備(12月26日北京ー広州間全長2200kmが開通 所用時間20時間が8時間に)
中央政府が2008年の4兆元の経済対策で過剰生産に落ちった反省から動かないので地方政府がインフラ投資に走っている
製造業が 一斉に設備投資に走った
経営効率の悪い企業の生き残りにつながった
設備の過剰は減速の要因になった
あふれた資金がバブルの温床になった
伸びを誘っているのは地方政府の投資 各地の地下鉄 住宅など
地方融資平題とよばれる資金調達会社が債券、信託、委託貸付などの方法で資金調達 金を出すのは意外にも個人
銀行の定期1年物で3%に比べ信託の予想利回りは9-9.5%で大幅に高い
一種のシャドーバンキング
銀行が売る金融商品にも銀行ガリスクを負わない商品があり問題になっている
輸出企業の競争力低下(人民元 人件費上昇による競争力低下)。
銀行では不良債権が増加(国有企業へのずさんな融資が背景の一つ)。
2008年リーマンショック時の4兆元(大企業は設備投資 輸出で吸収できると踏んでいたが、欧州危機で在庫があふれる結果に。)
過剰生産(過剰設備投資) バブルが全国に広がる結果にもなったとの反省がある。
李克強は「4兆円」政策再来に強く反対してこれを食い止め、投資と輸出に過度に依存した経済の転換を模索しているとされる。
新築住宅価格 値上がり続く
中国人民銀行トップの交代も話題に
中国人民銀行総裁 周小川(64) 2012年10月に任期10年迎える 65才で閣僚級幹部は定年 2012年11月14日 中央委員名簿から外れる
中央委員は政治局員含む約200人。ここから人民銀行総裁の格付けが必ずしも高くないという表現が生まれる。
2011年10月監督管理委トップが一斉に交代
銀行業監督管理委員会主席に尚福林(60):前職は証券監督管理委員会主席
証券監督管理委員会主席に郭樹清(56):前職は中国建設銀行トップ
噂されている周総裁の後任候補
中国投資(CIC)の会長 楼継偉(61)
中国工商銀行トップ 姜建清(59)
中国銀行の董事長 肖鋼 など
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