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台湾の陳水扁前総統の逮捕(2008年11月)そして無罪判決(2011年8月)

 2008年11月12日陳水扁前台湾総統が、台湾の検察当局によって総統府の機密費流用の疑いで逮捕されたことは驚きであった。1994年の台湾市長選挙や、2000年の総統選挙など選挙であまったお金を海外に送金して蓄財をはかっていたとされた。2008年10月25日には台北で民進党が組織した大規模な反中デモ(背景には経済不振とメラミン混入問題)が成功した直後で、5月からは親中融和政策を掲げる国民党の馬英九総統の政権下での逮捕。10月28日と11月4日には民進党の知事(県長)が汚職で逮捕されることも重なった。政権交代直後に前総統が逮捕されるというのは、政治的報復の疑いが残り不透明な印象を与える。
 陳氏に不利なのは、民進党の支持者の対応が分裂していて、蔡英文主席が陳氏を全面的に擁護していないことだ。陳氏をめぐる機密費流用疑惑は、いまだ陳政権下の2006年11月に夫人が起訴されたことが発端であり、さらに夫人起訴以前から、子息や娘婿など一族をめぐるスキャンダルが続いていたことが背景にある。結局、この疑惑問題で陳氏は党主席を引責辞任。08年3月の総統選は、謝長廷氏(台湾大学法学部から京都大学大学院)と馬英九氏(台湾大学法学部からハーバード大学大学院)との間の戦いとなった。
 
2011年8月26日 台湾の高等法院は機密費流用については、逆転無罪。他方、マネーロンダリングについては有罪の判決を下した。この判決に対して検察側が控訴したとのこと。この判決どおりであれば、発端の2008年11月の逮捕劇は何を意味するのだろうか。いずれにせよ、一連のプロセスには不透明なものを感じる。陳水篇氏は謝長廷氏とともに、美麗島事件(1979)の弁護団の一員として、古くから民主化闘争を戦ってきた人物の一人。また台湾の政治的自立を強く主張してきた代表的な政治家の一人。その逮捕がそもそも正当なものではなかったのか、あるいは腐敗は実際にあったのか。結論が気になるところだ。

二二八事件(1947)
霧社事件(1930-1931)
西来庵事件(1915)

Area Studies
originally appeared in November 14, 2008
corrected and reposted in July 8, 2012
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