斯く語りき

思ったこと、感じたことを書いています。

難病と医療費の駆け引きで人間側が勝てると思いますか?

2020-07-24 04:30:00 | 社会部
亡くなった彼女の年齢から想像すれば、その両親も齢70~80以上にはなっていると思います。場合によっては既に鬼籍の人かもしれません。

仮に存命だとしても、我が子とはいえ、とても医療費を支払えるものではないでしょう。財産を処分して充てるにしても、どこまで繋げられるか判りません。それが尽きたら終わりでもあります。況してや分与する人数が多ければ尚更です。

勿論、分与された側の中には少しでも役立てたいと名乗り出る場合もあるでしょうが、逆に憤る場合だってある筈です。とにかく難病と指定されている現実では保険の適用が限られているのですから、長期的な治療になれば相当なものになります。

恐らく、担当した医師との会話の中でも医療費の話が出たと思います。もし彼女の両親が既に他界し、親戚縁者からの援助も期待できない状況下であったとしたら、そこから何を生きがいにすれば良いのか悩むのは当然で、彼女の持つ全財産が尽きたら終わりだという絶望感に苛まれた可能性だって十二分にあったでしょう。否、そこにまで至ってしまったからこそ、葬儀費用などを差し引いた額だけを残し、そこに至った段階で安楽死を切望していたかもしれません。

こうしたケースで問題になるのは尊厳死ばかりで、その人を支え続けてきた側の苦悩にまで踏み込んだものが殆どありません。安楽死を避けようと治療を続けたものの道半ばで亡くなってしまったら、そこから先は支えてきた側による医療費の支払いです。下手すれば自己破産と引き換えに支払いをしなければならなくなります。

支えられた側も人間ですが、支えてきた側も人間です。共に人生があります。

双方にとって最良の選択ができなければ、難病になった段階で誰も助けてくれなくなります。そりゃそうでしょう。支えてきた側が破産して路頭に迷い、結果的に自死してしまっても死人に口なしで理由を知ることができませんし、それが尊厳死の現実に対して一石を投じることにも繋がらないのですから。

今回の様なことが起きる度に世間では尊厳死は良くない、生きられるうちは生きるべきだという論調になりがちですが、もし尊厳死をさせたくなければ希望がない現状を改善させる為の明確な動きをするべきでしょう。きちんと政治に関心を持ち、おかしな政治や政治家を跋扈させない様にするべきでしょう。

健常者が満足に生きられない社会では、ハンデを背負った側は絶望しかないんです。既に同じ健常者でも若い世代の自死が止まりません。ニュースに出たから騒ぐのではなく、そうしたことが起こらない社会にするべきでしょう😠