斯く語りき

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相当な外交努力をしても戻らないと思っています

2019-02-04 23:45:00 | 社会部

北方領土の日「不法占拠」使わず 大会声明、日ロ交渉に配慮か

以前にNHKの大河ドラマで放送されていた『坂の上の雲』が明治時代の日露戦争を扱ったものとして有名ですが、あの時の日本は旅順を陥落させ、日本海海戦でロシア帝国から派遣されたバルチック艦隊を撃破し、ロシアの脅威から日本を救った話として今でも歴史に刻まれています。

然し乍ら、その後のポーツマス講和会議で戦勝国にも拘わらず殆ど利益を得ることができなかったとのことです。一応は其れなりの条件を得ることができた様ですが、多くの戦費と国民の命を注ぎ込んだ割には大した成果をあげられなかった訳です。

正直な話、ロシア帝国の国土を当時の日本人が正しく理解していたら、果たして本当に日露戦争に発展したでしょうか。たった一度の大戦で国費の大部分を使い果たした日本に比べ、物資も資源も自国で殆ど賄える大国ロシアであれば、あと数回バルチック艦隊を派遣させることも十分に可能だったと思うのです。

あの当時は一回の派遣で矛を収めたものの、やはり多くの同胞を日本海海戦で失っている訳です。その時の悔しさが未だにロシア国民の中に受け継がれているからこそ、北方領土返還に前向きにならないと思うのです。

第2次大戦末期、ソビエト連邦に名を変えたロシアが瀕死状態の日本に宣戦布告してきましたが、その背景にも日本海海戦の思いが強く残っていたと思います。あれだけ列強国として一員に加わった筈の日本の蓋を開けてみたら殆ど上げ底だった訳で、そんな国に多くの同胞を殺された思いが参戦の背景にあったとしても不思議ではないと思うのです。

勿論、戦後の外交交渉の拙さや長期的な安定のない日本側の政権運営もありますが、根っこにはロシア側の日本海海戦で同胞を失った後に止めを刺せなかったことへの忸怩たる思いがあるからだと思っています