日本では日本、中国と韓国における新型コロナウイルスのニュースが大半を占めていますが、欧州ではイタリアを中心にして感染が広がってきました。
イタリアでは2月25日時点で感染された方が300人を超え、亡くなった方は11人に上り、この数字は日本を超えてしまっています。現在、イタリアが欧州で最悪の状況となってしまったのは、新たな感染症例を探し出そうと綿密な検査を行っていることも要因ではあるそうですが、逆に日本の検査体制については、いつまでも疑問が残ってしまいます。
この状況において、イタリア政府はミラノからベネチアに広がるイタリア北部地域の大半を事実上の封鎖状態だそうです。
イタリアでの拡大は2月18日にミラノ近郊の病院で治療を受けた患者に端を発するとされ、この患者から数十人と医療従事者が感染したとみられています。ちなみに、この患者は中国に渡航しておらず、どのように感染したのかは謎のままだそうです。ただ、この患者は、体力や免疫力の劣る高齢者どころか屈強なスポーツ愛好家で、地域のアマチュアサッカークラブと陸上クラブに所属する競歩ランナーだそうです。
2月初旬から2週続けて異なる町で参加者1000人超のハーフマラソンを走り、15日にはサッカー5部リーグの試合に出場。19日に緊急入院し陽性反応が出た後、周辺地域を中心に感染拡大を続けたとのことです。スポーツイベント参加が、拡散につながったことは事実だと思えます。サッカークラブのチームメイトと対戦相手は、29日まで半強制的な外出自粛要請が出されているとのことです。
さらに、住んでいる地域は警察と陸軍が封鎖しており、自由行動制限やアクセス禁止、民間イベントの禁止令等からなる、「対コロナウイルス感染拡大防止特別政令」を即時発効させ、包囲網を破れば刑事罰処分として懲役刑になるそうです。「イタリアで?」とは意外に思え、厳しく思えるのですが、逆にいえばイタリアはそれほどまでに断固たる決意で臨んでいるともいえそうです。
これにより、イタリア北部で2月23日に開催される予定だった、サッカー・セリエAの3試合(アタランタ vs. サッスオーロ、インテル vs.サンプドリア、ベローナ vs. カリアリ)が延期となりました。これはリーグ史上初めてのことになります。また、24日には、スポーツイベント開催禁止令を北部6州に拡大することを発表し、禁止期間を3月1日までとし、一部については、無観客での開催となります。
それに加え、政令が指定する2州では、5部アマリーグから育成年代の各カテゴリーまで週末の計43試合も休止になり、バレーボール、ホッケーの地域リーグ戦、ゴルフの公式戦や競泳レースも、延期もしくは休止に追い込まれています。また、2月23日からのアルペンスキーのワールドカップ、また3月中旬の同ファイナルが予定されていますが、大会の中止か開催地変更の可能性もあるようです。
一方、日本政府は26日の対策本部会合で、「多数の方が集まる全国的なスポーツ、文化イベントに関し、大規模な感染リスクがあることを勘案し、今後2週間は中止、延期、または規模縮小の対応を要請する」と述べ、相変わらずのお願い状態のままです。すでに、地方自治体、各主催団体、各企業が自主的に対策・対応を始めており、日本政府は機能していないようにも思えてしまいます。
日本で政治を司る立場の方々は何か事があれば、「〇〇ファースト」という言葉を使いたがります。まあ、過去にその言葉どおりになったことはありません。綺麗ごとや建前ではなく、何を第一に考えるべきか。
イタリア・セリエAのユベントス会長アンドレア・アニェッリさんは、セリエAの試合延期と決して望んではいないであろう無観客試合について問われ、いの一番にこう応えています。
「今、この国にとって最優先すべきは国民全体の健康だ」
日本の為政者からは聞こえてこないコメントです。
なお、セリエAの第26節での無観客試合での開催が予想されているのは、
ユヴェントス vs. インテル
サンプドリア vs. ヴェローナ
ウディネーゼ vs. フィオレンティーナ
ミラノ vs. ジェノア
サッスオーロ vs. ブレシア
パルマ vs. スパル
の6試合です。それに加え、もう一つの大試合もあることを付け加えておきます。
新型コロナウイルス vs. 人類