日本国憲法には「国民の義務」について書かれており、「教育」「勤労」「納税」があり、これらの「3大義務」のほかに、「憲法で禁止されていない限り、法律によって国民に義務を強制することができる」とあります。
その1つに、現在行われている「国勢調査」も義務の1つだそうです。今まで、何回か回答していましたが、この歳になって初めて知りました。この国勢調査は、国の重要な統計調査である「基幹統計調査」として実施され、統計法という法律の第13条第1・2項によって、調査票を提出することの報告義務が課せられています。
■第十三条 行政機関の長は、第九条第一項の承認に基づいて基幹統計調査を行う場合には、基幹統計の作成のために必要な事項について、個人又は法人その他の団体に対し報告を求めることができる。
２ 前項の規定により報告を求められた個人又は法人その他の団体は、これを拒み、又は虚偽の報告をしてはならない。
３ 第一項の規定により報告を求められた個人が、未成年者（営業に関し成年者と同一の行為能力を有する者を除く。）又は成年被後見人である場合においては、その法定代理人が本人に代わって報告する義務を負う。
また、報告の拒否や虚偽の報告をした場合には、第60条において、「報告を妨げた者」に対して、「6箇月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」、第61条において、「報告をせず、又は虚偽の報告をした者」に対して、「50万円以下の罰金に処する。」と規定しています。しかし、1920年に第1回目の国勢調査が行われて以来、歴史的には国勢調査に協力しなかったという理由で罰則が適用された例はないそうです。ですが、近年は個人情報保護を理由に提出を拒んだり、無回答（記入）項目が多くなってしまっているとのことで、間違いによる無回答はともかく、故意に提出を拒んだりし続けることで罰則を受けないことはないとは言い切れないと思います。
ただ、「調査する側」に対する罰則規定もあり、行政側や調査員などに対して、「その業務に関して知り得た個人又は法人その他の団体の秘密を漏らした者」（第57条の2・3）があり、調査結果に対して、調査拒否者を調査することは、現実的には不可能に近いことになるはずです。つまり、調査される側が罰則を受けるとしたら、調査する側も罰則を受ける覚悟が必要となると思えます（個人的な解釈ですので、保証はありません）。
ちなみに、調査する側の罰則は、「2年以下の懲役」または「100万円以下の罰金」になります。
だからといって、「回答しなくてもいい」とは、一言もいいませんので。
さて、上の統計法第13条2項のように、「～してはならない」とか、「～しなければならない」などと定められている法律は、「必ず行わなければならない」と定める規定であり、これらは、「義務規定」となり、違反の場合の罰則があわせて規定されることもあります。
一方で、「～するよう努めなければならない」とか、「～努めるものとする」と規定されているものは、基本的に、「努力をすることが義務付け」られているものになります。
これらは、努力義務であり、努力義務に違反したとしても、基本的には罰則は法律上明文化されていませんので、刑事罰はもちろんのこと、行政罰（過料など）の制裁もありません。要するに、あくまでも、努力義務は対象者へのお願いになります。
ただ、罰則が設けられていないからといって、努力義務規定違反においてリスクがないということではなく、被害を受けた第三者から損害賠償請求を受けたり、監督官庁から行政指導を受けたりする可能性はあるかもしれませんので、注意した方がいいでしょう。
難しいのは、「努力」の評価は人それぞれ違うものです。つまり、自分では一生懸命「努力」していると考えていても、他の人からみて、「努力」と思えないということもあったりします。
でも、いろいろ言われるように、努力はしないよりも、した方がいいでしょう。それと、自分一人では大きなことができなかったとしても、安易に他人に頼らずに、まず自分自身が努力することは大事なことでしょう。でも、努力をしたことによる見返りは求めないことだとも思います。
「自分一人で石を持ち上げる気がなかったら、二人でも持ち上がらない」
by ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
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