野球小僧

気象庁(JMA) vs. 米国海洋大気庁(NOAA) vs. 欧州中期予報センター(ECMWF) vs. 合同台風警報センター(JTWC)

今日(2024年8月28日)の私のブログが公開され、みなさんが目にされていると思われるころ、日本の南を北上してきた台風10号(サンサン)は、おそらく本州に上陸していると考えます。

大きな被害がでないことを願うばかりです。

台風7号が関東に接近し、各地で強風大雨から約1週間が経過した8月22日午前3時、台風10号が北太平洋のマリアナ諸島付近で発生。このころからの予想進路では日本列島直撃という感じでした。

基本的に私たちがニュース、天気予報で目にする台風の予想進路は気象庁のもの。

■気象庁(JMA:Japan Meteorological Agency)
日本の行政機関のひとつ。気象業務の健全な発達を図ることを任務とする国土交通省の外局。
1875年6月に発足した内務省地理寮東京気象台が前身。1895年に文部省移管、1943年の運輸通信省移管を経て、1945年に運輸省(現;国土交通省)の所管。1956年7月、運輸省の外局に昇格するとともに気象庁に改称。

所掌事務として、「宇宙の開発に関する大規模な技術開発であって、気象業務に係るもの」「気象業務に関する基本的な計画の作成及び推進」「気象、地象(地震にあっては、発生した断層運動による地震動に限る)及び水象の予報及び警報並びに気象通信」「気象、地象、地動、地球磁気、地球電気及び水象並びにこれらに関連する輻射に関する観測並びに気象、地象及び水象に関する情報」などがあり、気象業務の具体的には、「天気予報」「地震情報」「火山情報」「津波情報」など。

最新の台風情報は通常3時間おきに発表。日本に接近した(約300km以内)場合には1時間おきに発表。民間気象会社や報道機関が発表する台風情報は、いずれも気象庁が発表する速報に基づいています。


(2024年8月27日午後8時時点での気象庁台風10号予想進路

ただ、気象庁以外にも台風の進路予想をきている機関がいくつもあり、ときどき話題になるのが、「日本周辺の台風予報はどこの精度が高いか」というもの。

■米国海洋大気庁(NOAA:National Oceanic and Atmospheric Administration)
米国商務省の機関の一つ。海洋と大気に関する調査および研究が専門であり、「自然災害からより安全に人命や財産を保護すること、環境に対する理解を深めること、海洋資源の有効利用に向けた探査・開発を推進すること」などを目的として、1970年に設立。

基本的には「国民の生命と財産の保護および国家の経済発展促進を目的として、米国の領土およびその近隣海域を対象とした気象、水文、気候に関する予報および警報を提供する」ことを主な業務とした、NOAA内の米国国立気象局(NWS:National Weather Service)が日本の気象庁に相当。

■欧州中期予報センター(ECMWF:European Centre for Medium-Range Weather Forecasts)
1975年に設立された国際組織であり、「中期気象予報のための数値解析手法を開発」「中期気象予報を作成し、加盟国に配信」「予報精度を向上させるための科学的・技術的研究を行う」「適切な気象データを収集し保管」などを主な目的として、欧州地域の23ヶ国が加盟し、欧州以外の地域を含めた12ヶ国と協力。

なぜか、近年は日本に近づく台風予想進路において登場。

■合同台風警報センター(JTWC:Joint Typhoon Warning Center)
1959年に米国海軍と米国空軍がハワイ州真珠湾海軍基地に共同で設置した、米国国防総省の機関。北西太平洋、南太平洋とインド洋で発生する熱帯低気圧を偵察(観測ではなく、偵察ですよ、偵察)し、予報や警報を発し、国防総省などの米国政府諸機関を支援。また、熱帯低気圧および津波に関して、米国艦隊総軍司令官の指示により、主に海軍の沿岸施設および軍艦と軍用機を含む艦隊の諸資産を対象とする意思決定を支援。

国防総省に所属するすべての部署のほか、国務省に属する世界各地の米国大使館・領事館や商務省傘下の国立気象局など、その他の合衆国政府の諸機関にも情報を提供する。提供される台風情報は、国立気象局が発表するミクロネシア地域の局地スケールの気象予報にも役立てられる。国防総省の資産の安全を確保するため、東太平洋と中部太平洋の海域で発生する熱帯低気圧の予報については、中部太平洋ハリケーンセンターおよび国立ハリケーンセンターとも協調。JTWCの任務のうち、海軍の担当分は海軍気象海洋司令部と協調して運用。

1944年12月と1945年6月の台風を含む、複数の台風が米軍の兵員と艦艇に甚大な被害をもたらしたことを受け、1945年6月にグアム島に艦隊気象センター/台風追跡センター(Fleet Weather Center/Typhoon Tracking Center)が前身。

現在の偵察範囲は国際日付変更線から南半球のアフリカ沿岸までと広大であり、さらに上下方向は、海底から大気圏の最上層までを担当。

ちなみに、暴風雨名称については世界気象機関(WMO)が定める規則により、熱帯低気圧および熱帯暴風雨の強さの表現はガイドラインどおり。ただし、風力測定基準はWMOが推奨(10分間の平均風速)ではなく、米国標準(1分間の平均風速)を採用。そもそも米国政府の諮問機関として連邦政府機関を支援することが任務ですから。よって、WMO指定の地域特別気象中枢(RSMC)にも、熱帯低気圧警報センター(TCWC)にも指定されていない・・・にもかかわらず、管轄範囲は、世界中の熱帯低気圧の89%を含んでいます。


(2024年8月27日午前8時時点でのJTWC台風10号予想進路

私としてはあまり大差がないように思えるのですが、それぞれ予想進路の出し方には特徴があります。

ECWMFの予報は、センターが持っているスーパーコンピューター(スパコン)の予測そのもの。ただ、予想進路が複数線表示されています。これは、「アンサンブル予想」と言われるもので、一つの気象条件をもとにルートを計算すると線一本ですが、その一つの気象条件はちょっと気温が高かったり、風がちょっと吹いたら変化するため、数値を変えながら全部シミュレーションした結果です。

気象庁やJTWC/NOAAでは複数機関のスパコンの予測を組み合わせ、さらに人の判断を加えて予報。

ただ、気象庁は予想進路として「(だいたいこのあたりに来るよの)予報円」を使用していますが、JTWCは予報円がなく、最も可能性の高いルートが1本どーんと示されているだけ(予報円のように見える、赤い点線で囲まれた水色の網掛けエリアは、風速34ノット(約17.5m/s)の風が吹く可能性のある範囲)。

そもそも気象庁としては、少しでも台風被害を少なくするため、予報の幅を予報円で示し、暴風の危険に備えてほしい地域全体を暴風警戒域として防災が目的。JTWCは、防災ではなく、あくまでも軍の船舶や航空機の運航が目的という違いもあるでしょう。

まあ、一つの参考情報として見ていただけたらと思います。

本日も、拙文最後までお読みいただきありがとうございます。

今日という日がみなさまにとって、よい一日になりますように。

また、明日、ここで、お会いしましょう。それではごめんください。

コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。

コメントありがとうございます。

意外や意外。「国際気象海洋株式会社(IMOC)」「米国海洋大気庁(NOAA)」「欧州中期予報センター(ECMWF)」までも守備範囲としているとは。

私はてっきり「気象庁」一本化だと思っていましたが。

いずにしても、信頼できる公的情報を元に事前に備えるべきことをしておきませんとね。
まっくろくろすけ
forever-greenさん、こんばんは。

コメントありがとうございます。

そうなのですね。それは知りませんでした。次回、沖縄に行ったときに参考にさせていただきます(台風シーズンには行かないと思いますが)。

考えてみれば、おそらく気象庁よりも早くてより正確なのかも知れませんね。
eco坊主
おはようございます。

本当にゆっくりなサンサンですね。
緯度経度で調べますと4時現在の予報位置は奄美大島と屋久島の間くらいですかね。
予報では更に南側の通過となり九州上陸後は四国南側を通過する進路予想です。
まっくろくろすけ邸の上空飛行もなくなりましたね。

私、パソコンでは国際気象海洋株式会社(IMOC)の情報を参考にしてます。スマホではtenki.jpのアプリ使用です。
でも時々米国海洋大気庁(NOAA)と欧州中期予報センター(ECMWF)も見ます。

予報の当たり外れを云々かんぬんと色々言う人がいますが、後の後悔より前の安心ですから対策が外れてもそれはそれでシミュレーションができて良かったと思わないとね!!!

では、皆々様対策を施し用心して8月末をお過ごしください。
大きな被害が無き事を願って・・・

今日もありがとうございました。
forever-green
いつもありがとうございます。
沖縄の人は米軍情報を利用していました。5日後まで予報していたし(気象庁は以前は3日後まで)。
米軍情報は日時がグリニッジなので、日本時間にはプラス9時間計算が必要ですね。
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