あまり大きな話題になっていませんが、先日、ライオンズの栗山巧選手がプロ通算1,000安打を達成しました。
「自分の打てる球をしっかり待って、イメージどおり左方向に打つことができました。1,000本達成は、プロ1本目から見てくださっているファンの方もいると思いますし、ホームでできて良かったです。これからも積み重ねていきたいと思います」
とコメントした栗山選手ですが、私的にはある意味、現時点ではトップクラス、いいえNo.1外野手ではないかなと考えています。その理由は“純粋な高卒外野手”であるという意味からです。
12球団全体のレギュラー外野手の顔ぶれを見渡しても、純粋高卒外野手で主力(っぽい)のはホークス内川聖一選手、多村仁志選手、バファローズ・坂口智隆選手、イーグルス・鉄平選手くらいです。
昨日のスタメンでもタイガース・大和選手、カープ・丸佳浩選手、イーグルス・牧田明久選手、ホークス・長谷川勇也選手と高卒外野手はいますが、実績的にはまだまだこれからというところ。
他は社会人、大学出身。高卒であったとしても、元々は他のポジションを守っていて、プロ入り後にバッティングや強肩や走力を活かすために外野へコンバートされていたりしています。例えばファイターズ・中田翔選手、陽岱鋼選手、スワローズ・雄平選手とか。
ドラフトでの指名状況からも純粋高卒外野手は絶滅危惧種に近い状態になっています(昨年(2012年)は3人のみ)。
栗山選手は2001年のドラフト4巡目に兵庫・育英高校から入団して、四年後の2005年から一軍に定着。2008年にはリーグ最多安打でベストナインに選出されていますが、それほど目立ちません。
走塁も守備でも球界、リーグNo.1という評判でもありませんでした。
ここまで成長した背景には栗山選手の自分に厳しく、妥協を許さない性格と論理的思考を言葉で表すことが出来る頭の良さがあるとのことです。
「オレは天才じゃない」
その考えが飛躍を生み、一日1,200回ものスイング。それに付き合い続けるコーチもある意味立派です。これもコーチの仕事ではあるでしょうけど、人を育てるというのは大変なものなのですね。
あるとき、コーチがアドバイスをしても「ハァ」とか「エェ」としか返ってこない時があったという。練習に集中できていない。
「オマエなぁ、野球選手はいつクビになるのかわからんのやぞ。やめたら、どうするんだ?」
栗山選手は答えた。
「旅に出ます」
「そうか、じゃあ明日から旅に出ろよ。旅にな」
そう突き放した日があったそうです。そして、その後、
「しばらくして、アイツは本当に旅に出てしまった。一軍という旅にね。もう、こっち(二軍)には戻ってこないなと思いましたよ。このまま、ずっと、いい旅を続けてもらいたいよね」
と言ったのが当時二軍バッティングコーチだった田辺徳雄さん(現一軍バッティングコーチ)でした。
ちなみに、プロ野球界の力自慢を競う企画「握力王」(2007年)で、ラミレスさん、ガイエルさん、カブレラさんなどの外国人の記録を「大したことない」との一言で、80.7kgを出して優勝。
そして、「プロ野球界で最も握力の強い選手」としてめざましテレビが取材(2010年)、計測していたときに、たまたま、その場をとおった高山久選手(ライオンズ)に目の前で自身の記録を約3kg更新されたという話があります。