現在のプロ野球の組織の中で明確に三軍を設置しているのが福岡ソフトバンクホークスと読売ジャイアンツです。
元々、ホークスはリハビリ専門として三軍を位置づけていましたが、今シーズンから、二・三軍選手を育成する場所として福岡県筑後市の鹿児島本線・筑後船小屋駅から徒歩3分という場所に、約7万1000平米の広大な敷地に主に二軍公式戦を行うメインスタジアムと三軍が練習や試合などで使用するサブグラウンドが建設されました。来年には日本最大級の屋内練習場、選手寮・クラブハウスが完成する予定とのことで、育成に力を入れています。
ジャイアンツは昨年10月に三軍を公式に設置しました。この三軍は育成選手を中心とし20~25名の規模で、対戦相手は国内独立リーグ、大学、社会人などであり、年間約90試合の実戦経験の場を設け、若手選手の育成を図ることを目的とする設立趣旨を発表しています。並行して、現状イースタン・リーグで取り組んでいるフューチャーズ戦は2015年並みの試合数を維持出来るようにしています。
今回、川相昌弘監督が率いるこの三軍とBCL・信濃グランセローズの交流戦が松本市でありました。
(仕方がないので、川相監督、金城コーチらと握手をしてきました)
試合の方はグランセローズが二回にノーアウトランナー一塁から桑田真樹選手(桑田真澄さんの長男)の2ランホームラン、四回にはノーアウト一・二塁からジャイアンツセカンドの川相拓也選手(川相昌弘監督の長男)を強襲する内野安打で1点を追加し、3人のピッチャーのリレーでの完封勝ちでした。
読売000000000|0
信濃02010000x|3
三軍ホームグラウンドを持つホークスと違い、ジャイアンツの三軍はホームグラウンドがないため(ジャイアンツ球場は二軍が使用)、予定されている年間約90試合の対戦相手はBCリーグの石川、富山、福井、福島、新潟、群馬、武蔵、信濃の8チームに加え、大学や社会人チームなどで、ほとんどが遠征になっています。また、移動手段は新幹線や航空機を使用せず、すべてバス移動となる予定だそうです。例えば、BCリーグのチームの中で東京から最も遠い富山、石川は400~500km離れていて、空路なら約1時間、北陸新幹線なら約3時間の距離ですが、陸路で約7時間をかけての移動です。遠征時の宿泊先の部屋は1人部屋ではなく、原則2人部屋だそうです。
あえて過酷な環境に身を置き、反骨心をあおり、厳しい境遇で互いに刺激しあって、しのぎを削ることで上昇志向を刺激するのが狙いだそうです。このあたりは米国マイナーがお手本で、10時間前後のバス移動は当たり前、宿泊は安いモーテルで2人部屋、低賃金で質素な食事から「ハンバーガーリーグ」とも称されいるほどです。
ただ、ジャイアンツの三軍の場合は「体は資本」との考えから、食事だけは充実したメニューを用意されているそうです。
「若手の育成」
現在の二軍では実戦の場が一軍よりも少ないのが問題だと思います。実戦に勝る育成の場はありません。それを考えると三軍制を設けて実戦の場を増やすことは良い試みだと考えます。12チームすべてで出来ることではありませんが、ホークスとジャイアンツが育成制度をリードして行くことにより、多くのチームが追随して行き、プロ野球界が活性化して行くことを望みたいです。