うたかたの夢

キャバリアとかぎ針編み、社労士試験に向けて勉強の日々を綴ります。

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア

2010年12月01日 04時14分30秒 | 映画・その他レビュー
ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」(1999年ドイツ)

普通なら友達にすらならないであろうくらいタイプの全く異なる2人の青年が病院で出会う。
共に余命いくばくもない身の上であることを知った2人、マーチンとルディは人生の最後に海を見るため、末期患者病棟を脱走する。
『天国じゃ、みんなが海の話をするんだぜ』
酔った勢いでベンツを盗む2人。
ところがそのトランクにはギャングの大金が入っていたのだ。
2人はギャングに追われ、そして図らずも警察にも追われる立場となってしまう。
銃を使うマーチンを批判していたルディ。
しかし、激しい発作に苦しむマーチンを助けるために薬屋で発砲する。
次第にお互いにかけがえのない存在となっていく2人。
強盗を犯すマーチンがテレビ中継されるなど、2人の逃避行はますます険しくなっていく。
果たして、死ぬまでに海へ辿りつくことは出来るのか・・・。


というようなお話。
ロードムービーってハッピーエンドで終わらないものが多いです。
「俺たちに明日はない」をはじめとして、「明日に向って撃て」「イージー・ライダー」「マイ・フレンド・フォー・エバー」「テルマ&ルイーズ」「パーフェクト・ワールド」「バンディッツ」・・・
私がそういうのを選んで観てるだけなのかもしれませんね。
中にはハッピーに終わるロードムービーがあるかもしれません。
尤も、「スタンド・バイ・ミー」はハッピーなのかアンハッピーなのか判断に苦しみますが

残された時間をどう過ごすか、をテーマにした映画もたくさんありますね。
しかし「海を見たい」という願いはあまりにもささやかなのではないか?
と思うのは海に囲まれた日本人だから思うことかもしれません。
この映画の舞台はドイツ。
一度も海を見たことがない人もいるんでしょうね。


***万が一、おもしろそうだな、見てみようかな、と思われましたら、ここから先は読まないでください。ネタバレあり***

2人はギャングの金を使ってホテルのスイートに泊まり、大はしゃぎします。
そして、死ぬまでにやりたいことを紙に書き出し、1つずつ叶えることにします。
磊落なマーチンの願いは「プレスリーが好きなお母さんに、プレスリーが母親に贈ったのと同じ車をプレゼントすること」
マジメなルディの願いは「女の子と仲良くすること」
このギャップがまた哀しくもおかしい。
ロードムービーはやっぱり笑いと涙なんですねぇ・・・

ギャングも警察もコミカルを通り越すほどのスットコドッコイ振りで、思いっきり笑えました。
マーチンが強盗に入った銀行の職員もいい味だしてます。
偶然にも助けられ、どうにか海まであと少しというところまで来た2人。
しかし、とうとうギャングに捕まってしまいます。
「金を返せば命だけは助けてやる」と言われた2人は笑い転げるしかありません。
そんな2人に逆上したギャングが銃を持つ手に力を込めます。
2人は手と手をギュウッと握り合い、覚悟を決めます。

そこに、あの“ルトガー・ハウアー”様が登場!
一番おいしいところをかっさらっていきます。うーん、かっこいい
なんでも、マネージャーが「出演料は10万ドルだ!」と言ったのに対し、「そんなの気にするな」と出演を快諾したとのこと。
ステキすぎる

2人はとうとう海に辿りつきます。
海岸に至る道は荒涼とした1本道。何を象徴しているのか。
海を目前にしてマーチンは足を止めます。
「言いたいことがあるんだ」
先に進むルディが振り返ります。
「いい、判ってる」
マーチンは納得したかのように歩き始めます。
このあたり、男同士の友情が溢れていてたまりません。

二人の前に広がる海は、ハワイのように爽やかなものではありません。
いかにもヨーロッパらしい、どんよりとした曇り空の下、強く打ち寄せる波。荒々しい海です。
それでも2人は黙って砂浜に腰を下ろし、タバコをくわえます。
やがて、マーチンが静かに旅立っていきます。
ルディはタバコをふかしたまま海を見つめ続けていました。

『天国じゃ、みんなが海の話をするんだぜ』

これだけ強盗やら銃撃戦やらやらかしておいて、死者はラストの1名のみ。
おかしくもせつない映画でした。



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