[これで持って歩ける]
以前購入していたが、紹介するのをすっかり忘れていた小説。
2008年にハードカバーの単行本として出版されていたものがソフトカバーとして再発行されたもの。
当時は津山市立図書館で借りて何度も読んだもので、早く文庫化されたらなと思っていた待望の一冊。
登山をする人は山岳小説として、登山をしない人は山岳サスペンスとして楽しめるはず。
世界2位の高峰K2やカラコルムを舞台に、圧倒的なスケールとスピードで展開するストーリー。
さまざまな登場人物が、それぞれに背負った人生や生活の中で山と対峙し、自分と対峙する。
緻密に現在のヒマラヤ登山の様子が描かれ、まさに現代の登攀風景を見ることが出来る。
珠玉の名言も多数あり、怒涛の展開は一気に読み通せること請け合いである。
単行本の時と本文は当然一緒であるが、表紙カバーのK2の写真が違っていた。
また、文庫化に際して解説も新たにされている。
<2008年の単行本紹介時のブログ>
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「還るべき場所」笹本稜平著
文藝春秋 文春文庫 2011年6月10日
860円(税込)